【本】ミレニアムドラゴン・タトゥーの女／スティーグ・ラーソン

2011/2/22 本

スティーグ・ラーソンの小説「ミレニアムドラゴン・タトゥーの女」を読みました。

この小説、映画『ミレニアムドラゴン・タトゥーの女』の原作本。
上下巻で、かなりボリュームがありますが、その厚さも気にならない面白さ。

映画ではあいまいになっている部分が、小説ではきっちり述べられていたりするので、より納得しながら読み進めることができました。

映画が気に入った方は、ぜひとも原作を読んでみることをお勧めします。

＜STORY＞
雑誌「ミレニアム」の編集責任者で記者のミカエルは、ある企業のスキャンダルを取り上げたことにより、名誉棄損で敗訴。刑務所に収監されることとなる。そんなミカエルに、実業家のヘンリック・ヴァンゲルが、40年前に謎の失踪を遂げた姪のハリエットを探してほしいと依頼してくる。依頼を受けたミカエルは、その事件の起こった孤島へ赴いた。そして、ミカエルは調査を開始。天才ハッカーのリスベットと出会い、彼女に協力を依頼する。

＜感想＞

証拠を提示できない経済事件の記事を書いたため、名誉棄損で敗訴してしまい、世間からの信頼を失ったジャーナリスト、ミカエル・ブルムクヴィスト。
自己管理能力がないとされ、後見人に管理されてはいるけれど、本来は画像記憶能力など、天才的な能力を持っているハッカー、リスベット・サランデル。

「ミレニアムドラゴン・タトゥーの女」の主人公は、この二人です。
主人公の二人とも、実は大きな問題を抱えていて、それぞれに大変な立場にいます。
最初はまったく接点のなかったこの二人が、40年前に起こったある事件の謎を、一緒に解明していくことになります。

40年前のある事件とは、ハリエット・ヴァンゲルという、名門一族出身の少女の行方不明事件。
しかも、失踪当日、ハリエットの暮らしていた島は唯一の交通手段を遮断されており、事実上出入りできない密室状態になっていたのです。
ミカエルとリスベットは、大きな密室である島からなぜ少女が消えたのか、誘拐事件や殺人事件であるのなら、いったい誰が犯人で、どういう風に犯行を行ったのか、綿密に調べていきます。

“孤島に暮らす名門一族の複雑な歴史”
“暗号めいた数字の羅列”
“聖書に見立てた殺人”
“連続猟奇殺人事件”

など、昔ながらの推理小説のモチーフに彩られた本作ですが、ストーリーはかなり現代的。
ハリエット失踪の謎ときと、ミカエルが抱える問題、リスベットが抱える問題が絡み合いながら、物語が展開していきます。

“リスベットの天才的能力”“ミカエルののん気さ”により、事件の真相解明はあっさり行われるのですが、全体の構造が複雑なので、物足りなさはまったく感じません。
むしろ、「もっと読みたい！」と思うほど。

北欧の国、スウェーデンで巻き起こる、複雑に絡み合ったこの物語。
福祉大国のイメージがあるこの国の、別の一面を暴き出した、社会派エンターテインメント作品です。

【関連作レビュー】
■映画『ミレニアムドラゴン・タトゥーの女』（スウェーデン版）：http://c-movie.jp/review/millennium/
■映画『ミレニアム2 火と戯れる女』（スウェーデン版）：http://c-movie.jp/review/the-girl-who-played-with-fire/
■映画『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』（スウェーデン版）：http://c-movie.jp/review/the-girl-who-kicked-the-hornets-nest/

■映画『ドラゴン・タトゥーの女』（ハリウッド版）：http://c-movie.jp/review/the-girl-with-the-dragon-tattoo/

◆【本】ミレニアムドラゴン・タトゥーの女／スティーグ・ラーソン：http://c-movie.jp/book/man-som-hatar-kvinnor/
◆【本】ミレニアム2 火と戯れる女／スティーグ・ラーソン：http://c-movie.jp/book/flickan-som-lekte-med-elden/
◆【本】ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士／スティーグ・ラーソン：http://c-movie.jp/book/luftslottet-som-sprangdes/

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女上

posted with amazlet at 11.03.10

スティーグ・ラーソン
早川書房
売り上げランキング: 3088

Amazon.co.jp で詳細を見る

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女下

posted with amazlet at 11.03.10

スティーグ・ラーソン
早川書房
売り上げランキング: 6405

Amazon.co.jp で詳細を見る