【本】救命拒否 / 鏑木蓮

救命拒否

鏑木蓮の小説「救命拒否」を読みました。

救命救急医師が死亡した爆発事件について、二人の刑事がその事件の真相を探り、犯人を追いつめていく医療ミステリーです。

近頃は、「ER 緊急救命室」シリーズなどを筆頭に、救命救急医療を描いたドラマなどもよくありますが、その多くは救命救急医師にスポットを当てたもの。
しかし、本作では医師だけではなく、救急車などで患者を運ぶ救急救命士や、救急医に見捨てられて結果的に死亡した患者の遺族の姿を描き、救命の現場を俯瞰して描いています。
ドラマなどではヒーローとして描かれがちな医師だけでなく、現場で救命に尽力しているにも関わらず“その他大勢”的に扱われている救命士の実態や、トリアージの重要性と難しさなどを知ることができました。

<STORY>
大阪Sホテルの多目的ホールで爆発事件が発生。ホールでは医療シンポジウムが行われており、ちょうど講演を行っていた救急医・若林玲二が死亡した。若林と仕事をしたこともある救命士・中杢は、事故現場で若林に「ブラックタッグを」と言われ、ブラックのトリアージタッグを付けていた。この爆発事件を調べる刑事・倉吉と岸は、ある爆発事件に辿り着く。その事件で、若林にブラック・タッグを付けられた女性の遺族は、若林を恨んでいた。

<感想>
この小説を読む途中、ずっと「なんでこの本の表紙、ラスタカラーなんだろう」と不思議に思っていました。
特にラテンとか関係ないのに…と思っていたのですが。

しかし、読み終わった後で気付いたのですが、黒・赤・黄・緑の4色が縦に配置されたこのデザイン、トリアージタッグを表していたのですね。
これだけトリアージを扱った内容の小説なのにも関わらず、まったく気付かなかったなんて、不覚だった。。。

さて、この物語ですが、“トリアージ”が大きなテーマとなっています。
一瞬の判断が多くの人の生死を分ける救命救急の現場では、トリアージで患者の“重症度と緊急性”を分別するのは、大切なことに思えます。
それで、より多くの人の命が助かるのですから。

しかし、事故直後にはまだ生きていたはずの娘が、トリアージでブラックタッグを付けられ、その結果医療行為が行われず、死亡してしまった遺族の立場に立ってみると、ブラッグタッグを付けた医師を恨みたくなるのもよくわかります。

黒 (Black Tag) カテゴリー0(死亡群)
死亡。生命にかかわる重篤な状態であるが、その救命には現況以上の医療能力(救命資機材・人員)が必要であり、全傷病者の救命に不利益となるため、該当する時点での救命の適応がないもの。”(Wikipediaより)

もしレッドタッグを付けられていたら、素早い処置を受けて、まだ生きていたかもしれないのに…、と思ってしまうのは、人間としてごく普通のことです。

赤 (Red Tag) カテゴリーI(最優先治療群)
生命に関わる重篤な状態で一刻も早い処置をすべきもの。”(Wikipediaより)

こうやって、一般人には見過ごされがちな救命救急の問題点を描いた本作、なかなか読み応えのある骨太な物語でした。

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