【映画レビュー】婚前特急

2011/2/21 日本映画か行, 映画レビュー

吉高由里子が5人の男性と同時進行で付き合いつつ、自分の“ほんとうの相手”を探していく映画『婚前特急』。

ストーリー自体はドタバタラブコメの趣がありますが、主人公・チエと、彼女の恋人の一人・田無のキャラクターがなんとも面白い。
まあ、お互いに自分勝手だし、口ばっかりよくまわるし、考えてみればけっこうダメダメな人たちなんですが、観ているうちに愛しく思えてくるから不思議です。

この田無タクミ、インストゥルメンタルバンド「SAKEROCK」のトロンボーン担当のミュージシャン浜野謙太が演じているのですが、彼がなんとも独特ないい味を出しているのです。
セリフや演技のタイミングも絶妙で、大笑いさせてもらいました。
顔も濃いし、存在感抜群！

こんな逸材、日本映画界がほっておくわけはありません。
これから要注目の俳優さんだと思います！

STORY

24歳のOL・チエには、5人の恋人がいた。しかし、親友のトシコの結婚を機に、彼氏を査定してみることにする。査定結果が最低だった田無にまず別れを告げたチエだが、「オレたち付き合ってないんだから、別れる必要ないよ。今までどおり体の関係だけ続けよう」との返答が。ブチ切れたチエは、田無への復讐のため、自分に惚れさせてからフろうと考える。そのために田無の身辺を探るうちに、彼に好きな女の子がいることに気づき…。

解説

吉高由里子演じるチエが、19歳から54歳までの5人の男性と付き合いつつ、“ほんとうの”相手に出会うまでの物語…。

という、キャッチーなストーリーのこの作品ですが、“5人の彼氏”という要素は、あんまり出てきません。
むしろチエのあっけらかんとしたストレートな性格の理由付けのみに使われているという感じ。

この映画の前日譚？となる携帯ドラマ「婚前特急 -ジンセイは17から-」、「婚前特急 -ジンセイやっぱ21から-」の絡みもあるのかもしれませんが（未見のため詳細不明）、俳優さんのギャラもバカにならないだろうし、彼氏役は二人でもいいのでは…と思うのが、正直なところ。

しかし、それはマイナス要因というほどではありません。
何と言ってもこの映画の魅力は、吉高由里子演じるチエと、浜野謙太演じる田無タクミのキャラクターです。

チエは、“時間を有効に使うために”複数の男の人と同時進行で付き合う合理的と言えば合理的、自分勝手と言えば自分勝手な、ちゃっかりした女の子。
対する田無は、嘘はつくわ盗癖はあるわ、風呂はないわ。マイナス要因ばかりの男です。

この二人が、お互いに、そんなに相手のことを好きじゃないと思いながら、言いたいことを言い合って、ドタバタと物語が進行していくのです。

この二人の“ああ言えばこう言う”的なセリフの掛け合いが、なんとも面白い！
セリフの間もいいし、場面転換とかのタイミングも絶妙で、とにかく笑わせてくれます。

この映画の監督を務めた前田弘二監督、1978年生まれで本作が劇場長編デビュー作だとか。
これからのますますの活躍を期待したいと思います。

そう言えば、チエの付き合っていた彼氏の中で、私なら青木崇高演じるレストアバイクショップの経営者・出口道雄一択だなあと思っていたところ…。

リスモチャンネルの『婚前特急』特集サイトで、『ダメ恋診断』というのを見つけました。

◆◇リスモチャンネル『婚前特急』特集サイト◇◆
◇◆ダメ恋診断◆◇

やってみたところ、まさしく結果は出口道雄タイプに…。

あなたがついﾊﾏってしまうのは、多趣味で飽き性「移り気ﾀｲﾌﾟ」

振り回されれば振り回されるほど、どんどん相手にのめりこんでしまうあなた。常に刺激や楽しさを求めるため、ﾊｲﾘｽｸﾊｲﾘﾀｰﾝな恋に陥りがち。そんなあなたがついﾊﾏってしまうのは、多趣味でﾌｯﾄﾜｰｸの軽い、何かと移り気な男　…

うーーん。否定できない。。。

作品情報

『婚前特急』（107分／日本／2011年）
公開：2011年4月1日
配給：ビターズ・エンド
劇場：テアトル新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて
監督：前田弘二
出演：吉高由里子／浜野謙太／杏／石橋杏奈／青木崇高／吉村卓也／榎木孝明／加瀬亮
公式HP：http://www.konzentokkyu.com/