【本】カッコウの卵は誰のもの / 東野圭吾

カッコウの卵は誰のもの

東野圭吾の小説「カッコウの卵は誰のもの」を読みました。

カッコウは、自分が産んだ卵を他の鳥の巣に入れ、ひな鳥をその鳥に育てさせる“托卵”という習性を持つことでも知られています。

この小説「カッコウの卵は誰のもの」では、知らない内に他人の子どもを育てていた親の逡巡を描きながら、いつどのように赤ん坊が入れ替わったのかという謎を追っていきます。

<STORY>
スキー・アルペン競技の元オリンピック選手、緋田宏昌には、風美という娘がいた。19歳になった風美は、緋田の英才教育の結果かめきめき頭角を現し、注目を浴びる選手となっている。そんな風美の所属する新世開発のスポーツ科学研究所副所長の柚木から、宏昌に連絡があった。風美の遺伝子を調べたところ、スポーツに適したFパターンという遺伝子パターンが見つかったと言うのだ。柚木は、それが宏昌からの遺伝だと信じ、宏昌の遺伝子のFパターンを持っていないか調べたいと言う。しかし、宏昌には誰にも言っていない秘密があった…。

<感想>
妻の死をきっかけに、自分の娘がどこかからさらってきた赤ん坊だったと知った男が、娘の本当の親について知っていく物語。

この物語のポイントは、赤ん坊がどこの誰の子どもだったのか、なぜすり替えが起こったのか、というミステリーだけではありません。
遺伝子上の親子関係はなくとも、幼い頃から育てて来た娘への父親の愛情が、大きなキーとなっています。

何も知らない娘のために真実を隠し抜こうとする親心、自身の保身のために真実を隠したいと思う利己心、人の命を守るため私心を捨て真実を明らかにしようとする良心…。
主人公の緋田宏昌の心には、様々な感情が渡来します。
しかし、結局は自分のことではなく、娘と、娘の本当の兄である人物のことを思い、ある決心をするのですが…。

読みやすい文体でサクサク読めるこの小説、まあ面白いと言えば面白いのですが、「白夜行」のような重量感のある物語を期待すると、肩すかしをくらいます。
でもまあ、“泣けるミステリー”的な、ミステリーよりも人間ドラマに重きをおいた作品ですので、人間ドラマが好きな人にはいいのではないでしょうか。

「カッコウの卵は誰のもの」
公式HP:http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334926946

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