【映画レビュー】神さまの言うとおり
エログロからミュージカルからヤクザ映画から時代劇まで、なんでもこなす日本映画の奇才・三池崇史監督。
なんでもやっちゃう三池監督の最新作は漫画原作の『神さまの言うとおり』。
高校生が理不尽に殺されまくり、斬られた首からは赤いビー玉があふれるようにこぼれ出し、巨大な存在に踏みつぶされ、天変地異とも言えるような理不尽な運命に振り回されていきます。
うーん、生き残るに必要なものは、「知力」「体力」「時の運」か…。
アメリカ横断ウルトラクイズって、真実をついていたのね。。。
<STORY>
高校生の高畑瞬のクラスに、ダルマが現れた。そして突然“ダルマさんが転んだ”を始め、動いた生徒たちの首を次々に吹き飛ばし始める。生き残って教室を抜け出した瞬は、他の生き残りの生徒たちが集まっている体育館に逃げ込んだ。そこでまた招き猫に襲われるが、瞬、問題児の天谷武、瞬の幼なじみの秋元いちかの三人が生き残る。その頃、各地の高校で同じような殺戮が行われ、生き残った生徒たちは空飛ぶ立方体の中に集められていた…。
<解説>
ダルマさんが転んだ、かごめかごめ、カン蹴りなど、日本で育った人なら誰もが一度は遊んだことのある“ゲーム”が、次々に高校生たちを殺していく本作。
高校生たちをどんどん殺していくのは、ダルマ、招き猫、コケシなどのキャラクターたちです。
そんなキモ可愛いキャラクターたちが、子どものように無邪気に、“神様の言うとおり”に、虐殺を繰り広げていきます。
福士蒼汰くん、神木隆之介くん、染谷将太くんら、注目の若手俳優たちが、そんなキャラクターたちと命をかけた戦いに挑んでいくのです。
三池監督の以前の作品、『悪の教典』でも、同じように高校の校内で生徒たちが次々に惨殺されていきます。
でも、その殺人鬼はあくまでも人間。彼が殺人鬼になった理由は共感はできなくても、なんとなく理解はできます。
しかし、本作で殺人を犯すのは、ダルマ、招き猫、コケシ。
そんなキャラクターたちが生きて動くだけで、既に意味不明です。
主人公たちは、そんな理不尽で意味不明な環境に投げ込まれ、ただ自分の勘を研ぎすませ、生存競争に挑んでいかなくてはならない…。
ある意味、高度成長期からバブル期を経て、停滞した経済の中で、昔の若者たちよりも人生のモードがハードモードになっている若者たちの現状を現しているとも言えるのかもしれません。
これからの10年は、これまでの50年では思いもつかなかったような技術が発達し、これまでの経験則だけでは生き抜けないような、新たな時代がやってくるのでしょうし。。。
この映画『神さまの言うとおり』、ハードな現場で若手俳優たちが体当たりでかなり頑張っていると思います。
特に、神木隆之介くんの豹変ぶりはさすがです。
まあ、惜しむらくは、ダルマや招き猫のCGが、いかにもCGっぽくちょっと不自然だったりするところでしょうか。
CGキャラと同じ画面に入る撮影に役者もスタッフも慣れていないのか、体育館のシーンはかなりもったいない出来だと思います。
『神さまの言うとおり』(117分/日本/2014年)
公開:2014年11月15日
配給:東宝
劇場:全国にて
原作:金城宗幸
ART:藤村緋二
製作:市川南
監督:三池崇史
脚本:八津弘幸
出演:福士蒼汰/山崎紘菜/染谷将太/優希美青/大森南朋/リリー・フランキー/神木隆之介
声の出演:トミーズ雅/前田敦子/ダチョウ倶楽部/山崎努/水田わさび/小桜エツコ
公式HP:http://www.darumasanga.com/
ウルトラ・ヴァイヴ (2014-11-15)
売り上げランキング: 68,745
講談社
売り上げランキング: 35,749