【映画レビュー】ホームレス・ワールドカップ / KICKING IT

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世界48ケ国から集まったホームレスの人々がミニ・サッカーでワールドカップ獲得を目指す姿を追ったドキュメンタリー『ホームレス・ワールドカップ』

ホームレスと言っても、年代やおかれた境遇はさまざま。
麻薬中毒の23歳から、元レアル・マドリードの選手から銀行強盗に身を落とした62歳、元アフガニスタン難民の23歳、など、国籍、宗教、バックグラウンドなど抱えている事情はまったく違います。

“ホームレス”ということだけが共通している彼らが、自らの人生を好転させるために、サッカーボールを追いかける…。

そんな彼らの必死の姿を描き、世界の貧困事情を教えてくれる興味深い一作でした。

<STORY>
2006年、南アフリカのケープタウンで、ホームレスの人だけが参加できミニサッカーの世界大会「ホームレス・ワールドカップ」が開催された。この大会は、毎年開催されているが、一人一大会しか参加できない。世界48ケ国から集まったホームレスたちは、この大会を機に人生を切り拓こうと、前半・後半7分ずつのミニ・サッカーの試合にすべてをかける。カメラは、アイルランドやスペイン、ロシアなどからやって来た7人の選手を追う…。

<解説>
アイルランド・ダブリンの路上で暮らす23歳のダミアン。彼は、麻薬中毒でリハビリセンターに通っています。

ケニアのスラムで生きる29歳のアレックス。学校にも行けず、サッカーを初めて初めて希望を見出したアレックスは、トイレ掃除の仕事をしながらサッカーの練習をし、プロになりたいと願っています。

スペイン・マドリードに暮らす62歳のヘスース。彼はかつてレアル・マドリードの選手だったと言いますが、8年間銀行強盗を働いたため10年間も服役し、今はアルコール中毒でシェルター暮らし。

アメリカチームの19歳のクレイグは、小さい時から虐待され、やがて家から追い出されたたそう。彼は常に心の中に怒りを抱え、そのコントロールがうまくできずにいます。

アフガニスタンのナジブは、国を逃れパキスタンで難民生活を経験した23歳。政情不安の中アフガニスタンに戻った今、何より楽しいと思っているのはサッカーだと告白。タリバン政権下では、サッカーをしているのを見つかっただけで袋叩きにされたと言います。

アイルランドのサイモンは、麻薬中毒で家族を亡くした29歳。自分の犯した罪を悔やみながら生きています。

ロシアの辺境地帯で育ったスラヴァは27歳。豊かな生活を夢見てサンクトペテルブルグに出て来ますが、住民登録を拒否されたため不法滞在となり、路上生活を余儀なくされます。ロシアには、こういった、住民票がないために就職もできず住居も借りられないホームレスが500万人もいるそう。

映画『ホームレス・ワールドカップ』では、そんな彼らの試合の様子や普段の生活などを追いかけていきます。
彼らは、ホームレス・ワールドカップに挑戦し、一心にミニ・サッカーの試合を重ねるうちに、自分に打ち勝てるようになり、未来に希望を見出だし、広い世界を知っていくのです。

私がいちばん印象に残ったのは、アフガニスタンの23歳の男性・ナジブのエピソード。
彼が暮らす、イスラム教国の自国では、女の子の顔を見ることもままなりません。
イスラム教国の女性は、常にチャドルを身にまとい、すべてを覆い隠しているのですから。
でも、ホームレス・ワールドカップに参加するうちに、各国の女性たちの開放的なファッションに触れ、女の子と会話を交わす喜びを知り、果てはパラグアイからやって来た女の子と恋に落ちるのです。

彼は、この大会に参加することで、広い世界を知り、英語を学ぶ決意をします。
彼の人生は、この大会で大きく変化したのです。

また、ホームレスの選手たちの指導をする、各国の監督たちの姿も印象的でした。
彼らは、サッカーを指導するだけでなく、ホームレスとして生きる選手たちの精神状態にも気を配り、人間としても彼らが成長していけるように心を配っています。
彼らがボランティアでこのワールドカップに携わっているのか、有給で携わっているのかなどまでは、この映画からはわかりませんでしたが、兄のように選手たちを見守る姿がとても心に残りました。

このドキュメンタリーを観終わった後、なぜか映画『プレシャス』が思い出されました。
人に希望を与え、目標を持たせ導いていくことがどんなに大切か、そして、本人のモチベーション次第で、過酷な環境からも這い上がることができる…。
アプローチはまったく違うけれど、どちらの映画も希望を持つことの大切さを描いていると思います。

世界各地の貧困事情なども伝えているこのドキュメンタリー、いろいろと考えさせてくれました。

ちなみに、このドキュメンタリーで取り上げられている2006年大会に、日本のチームは出場していないようでしたが、2009年のミラノ大会には「野武士ジャパン」と銘打って、日本チームが出場していたみたいです。
「野武士ジャパン」って、「サムライジャパン」とか「なでしこジャパン」より、断然カッコいいネーミングな気がする。。。

『ホームレス・ワールドカップ』(99分/アメリカ/2008年)
原題:KICKING IT
公開:2010年5月8日
配給:イーネット・フロンティア
劇場:シネマライズXほか全国にて順次公開
監督・脚本:スーザン・コッホ
監督・編集:ジェフ・ウェルナー
出演:コリン・ファレル
映画公式HP:http://enet-dvd.com/enet/kickingit/
ホームレス・ワールドカップ大会公式HP:http://www.homelessworldcup.org/

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