悪の教典

貴志祐介の問題小説「悪の教典」をあの三池崇史が監督と脚本を務めて作り上げた映画『悪の教典』

あの“海猿”こと伊藤英明が、すぐれた知能を持つサイコパスのシリアルキラーを演じ、高校生を次々に血祭りに上げていくという問題作です。

血やゴア描写がニガテな方には決してオススメできませんが、飛び散る鮮血などが大好き!というゴア描写好きな方には、オススメの一本です。

<STORY>
晨光学院高校2年4組を担任している英語教師・蓮実聖司は、ルックスも良く生徒からも同僚教師からも信頼されている人気者。集団カンニングの防止やモンスターペアレントの対応などにも積極的に取り組んでいた。物理教師の釣井はそんな蓮実に疑いを抱き、彼の過去を調べ始めていた。同じ頃、生徒の早水圭介も蓮実に疑いを抱く。実は蓮実が過去に勤務していた学校では、集団自殺事件が発生していたのだ。事件に蓮実が関係しているのか…?

<Cheeseの解説>
伊藤英明がシリアルキラー・蓮実聖司を演じるこの作品ですが、開始から45分あたりまでは惨殺シーンは出てきません。
そこまでの蓮実は、頭脳明晰で闊達、ルックスもスタイルも良いという完璧な人気教師。
よく女子生徒の頭を両手でくしゃくしゃと撫でたりするのですが、他の先生がやったらセクハラになりかねないその行為も、女子生徒たちは喜んで受け入れています。

映画の前半の彼は、ほぼ“素敵な人気教師”なのですが、ボロボロの軽トラックで出勤したり、山の中にあるボロボロの一軒家で暮らしており、“なんとなく”おかしな感じも漂わせているのです。
そして、映画の中盤以降、メキ・メッサーの歌と共に、だんだんと彼は正体を現してくるのです。
このメキ・メッサーの歌ですが、ノスタルジックなメロディとは裏腹に、かなり気持ち悪い歌詞が続き、「この曲こんな歌詞だったの!?」とちょっと驚かされました。
どんな歌詞かは、ぜひ映画を観て確認していただきたいところです。

映画後半の蓮実聖司は、シリアルキラーの本性をむき出しにし、生徒たちを惨殺していきます。
見開いた感情のない目で、まるでノルマを果たすかのように生徒たちを撃ち殺していくわけですが、その感情のない感じがなんともリアル。
わかりやすい“狂気”っぽい演技ではないので、そこを不満に思われる方もいるかもしれませんが、“いかにも”なシリアルキラーではないところが、“IQの高い日本人のシリアルキラー”というキャラクターを考えた時に、なんとなくリアリティを感じます。

この作品、伊藤英明の人殺しっぷりも見ものですが、殺される生徒たちの熱演も、かなりの見もの。
二階堂ふみ染谷将太『ヒミズ』コンビや、ゲイの男子生徒を演じる林遣都くん、クラス1の不良を演じるダルビッシュ有の弟のKENTAくん、『告白』で少年Aを演じた西井幸人くんなど、要注目の若手俳優が多数出演しており、それぞれの殺され方を見せてくれます。
これから活躍するであろう若手俳優の演技のショウケースとも言えるかもしれません。

制服の色合いのせいで『バトルロワイアル』を思い出したり、映像の感じやキャストが被っていることからも『告白』を思い出したりもするのですが、やはりそれらのどれとも違う三池節を感じさせるこの作品。
『一命』に続く作品が『愛と誠』で、その『愛と誠』に続く作品がコレとは…。
やはり三池崇史監督、本当に奥が深いわ。。。
(あ、『逆転裁判』もありましたね…。忘れてた。。。)

別コラム:オトコに見せたいこの映画『悪の教典』

『悪の教典』(129分/日本/2012年)
公開:2012年11月10日
配給:東宝
劇場:全国にて
原作:貴志祐介
監督・脚本:三池崇史
出演:伊藤英明二階堂ふみ染谷将太林遣都浅香航大水野絵梨奈山田孝之平岳大吹越満西井幸人小島藤子KENTA綾乃美花夏居瑠奈
公式HP:http://www.akunokyouten.com

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