【本】贅沢貧乏のマリア / 群ようこ

本書は、小説家の群ようこが、森茉莉「贅沢貧乏」を読みながら、森茉莉について語るエッセイです。

森茉莉とは、森鷗外の長女で、54歳になって注目を浴びた遅咲きの作家です。

1903年に生まれ、17歳で結婚、二人の子を設け、19歳で渡仏、1年間パリでの暮らしを堪能してから帰国し、24歳で離婚。
27歳で再婚するも、28歳で離婚。そして38歳で一人暮らしを始めます。
1903年(明治36年)生まれでバツ2というのは、相当珍しいはず。
人の目などを気にせず、時代を先取りながら生きて来た女性なのです。

パッパ(森鷗外)の娘として、溺愛されて大切に育てたられたという強烈な自負心と、高い教養、独自の美意識からくる特権意識が、そんな生き方を可能にさせたのでしょう。

「贅沢貧乏」はその森茉莉の美意識に満ちた生活を描いたエッセイなのですが、群ようこの「贅沢貧乏のマリア」は、この「贅沢貧乏」を読んだ彼女の書評エッセイになります。

ただ、書評というよりは、群ようこの自分語りがメインになっており、そこが今ひとつ面白く感じられなかったところ。

森茉莉のようなスペシャルな人を、群ようこのような現代の普通人の感覚で語ってはいけないと、私は思うんですよね。。。
同じくらいスペシャルな突き抜けた人が森茉莉をこきおろすのであれば面白いと思うのだけれど、普通っぽい感覚が売りの女性作家が森茉莉の感覚を理解できないのは、当たり前だと思うのです。。。

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