【本】ハリー・ウィンストンを探して／ローレン・ワイズバーガー

2010/1/7 本

「プラダを着た悪魔」の原作者であるローレン・ワイズバーガーの3作目の小説、「ハリー・ウィンストンを探して」を読みました。

ニューヨークで暮らす29歳の女の子（あえて、女性と言うより、女の子と言いたい）たちが、いろいろな経験や冒険を経て、“本当にやりたいこと”や“本当に好きな人”に出会うまでの物語。

まあ、普通に楽しく読み終えましたが、素直に物語に浸りきれないのは、やっぱり年齢のせいですかね。。。
私も29歳だったら、「この気持ち、わかる!!」って目を輝かして語れるのかも。

でも、F2女子的には「…フッ、青いわ」って感じです。

＜STORY＞
リー、アドリアナ、エミーの3人は、大学生の頃からの親友だ。リーは出版社の編集者で素敵な恋人もいて、アパートを買ったばかり。傍から見れば誰もがうらやむ順調な人生だが、つねに苛立ちを抱えていた。アドリアナは裕福な両親の資産を使って優雅に生きる美貌のパーティ・ガール。男性にも不自由しないが、働いていないことに密かなコンプレックスを持っていた。5年間付き合ったダンカンにあっさり振られたエミーは、今までの彼氏一筋の姿勢をかなぐりすて、「この1年間で七大陸の男性とゆきずりのセックスをする！」と宣言する。

＜感想＞
いかにも女子受けしそうな小説です。
世の女子たちが憧れるキラキラな夢と、女同士のすてきな友情とあけすけなおしゃべりがたっぷり。

主人公の3人の設定だって、既に現実離れしています。

アドリアナはアパートのペントハウスに住むパーティーガール。元モデルの母親譲りの美貌とかけひきのテクニックで、男性なんてよりどりみどりです。新しい恋人は、ハリウッドの映画監督（しかもオスカー監督！）。

リーは有能な書籍編集者で、29歳にして自力でアパートを購入。ハンサムなスポーツキャスターの恋人がいて、ついにはプロポーズまでされてしまう。

3人の中で一番庶民的なエミーだって、レストランのジェネラルマネージャーとして、経費で高級ホテルに泊まり、世界のレストランを食べ歩いて新しいメニューを探してくるという優雅な仕事に就いています。

そんな3人が、恋人との関係で悩んだり、仕事上の人間関係で悩んだり、親の干渉に悩んだりしながら、新しい自分を探していきます。
30歳を目前にした自分にあせり、今までの自分の殻を打ち破ろうと、初対面の人とセックスしてみたり、逆にひとりの男性と真剣な付き合いを始めてみたり。

ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」にも似ていますが、「SATC」よりもまだまだ軽い感じ。
それはやはり、主人公たちの年齢にも関係があるのかもしれませんね。

「SATC」の4人は、ドラマが始まった時点で30代。
“自分がどういう人間で、何がやりたいのか”という芯は、既に出来上がっていました。
セックス・コラムニスト、弁護士、アートディーラー、パブリシストというそれぞれの職業には、揺らぐことはありませんでした。

でも、この物語の3人に関しては“本当に自分のやりたいことはこれだ！”と、物語の最後になってやっと理解します。
物語のスタート時点では、付き合う男性にあわせるためにキャリア・アップを我慢していたり、親の勧める職業にそのままついていたり、そもそも働いてなかったり。

30歳という節目にして、初めて3人は“本当の自分”に気付き、精神的に自活できるようになるのです。

というわけで、自活せざるを得ず、今さら「本当の私って？」なんて思ってはいられないF2女子としては、「うん、若いって、いいね…」なーんて感想を抱くしかないのでした。。。

あ、でも、ご都合主義な展開で、「そのままの私を理解して愛してくれる男性がきっといる」的夢見ガール向けストーリーのこの小説の中で、年齢に関係なく「わかるわー」と思った点が1点あります。