【本】ゴールデンスランバー / 伊坂幸太郎

ゴールデンスランバー

堺雅人さん主演の映画も公開された伊坂幸太郎さんの小説「ゴールデンスランバー」

以前人から借りて、一度読んだまま借りっぱなしになっていたこの作品を、映画を観る前に…と、再読しました。

やはり構成が素晴らしいです。
小説全体の構成と言うよりも、物語のディテールに感動してしまいました。

以前に交わしたさりげない言葉のひとつひとつが、登場人物たちが前進するための大きな手掛かりやヒントになっている。

「痴漢は死ね」「大変よくできました」そんなありふれた言葉たちが、当事者同士にしかわからない暗号となって、心を伝えられるだなんて…。
ちょっと泣けます。

<STORY>
大学時代の友人の森田森吾に呼び出された青柳雅春。久しぶりに再会した青柳に、森田は「オズワルドにされるぞ」と告げる。ふたりが会っている頃、仙台で凱旋パレードをしていた首相が何者かに暗殺された。森田に促され、何もわからないまま逃げ始めた青柳は、だんだんと自分が首相暗殺犯に仕立て上げられていることを知る。巨大な陰謀に巻き込まれ、警察から追われ始めた青柳は、習慣と信頼を武器になんとか逃げようとするのだが…。

<感想>
二度目の通読なので、楽しく読めました。
一度目だと見落としがちな、細かい伏線をいちいち拾えるというのが、二度読みのよいところですね。
まあ、その分、作品の荒い部分にも気付くのですが…。

巨大な存在から、やってもいない犯罪の犯人に仕立て上げられた時、人はどうするのか。

普段信じていた警察も、どうやらその陰謀に加担している。
身の回りに起きていた小さな出来事も、どうやらその陰謀の一端らしい。
新しく知り合い、付き合うことになりそうだった異性も、実はその組織の手先らしい。
信じられるものは、はるか以前からの自分を知っている仲間だけ。。。

とても面白いのですが、読んでいて不可解かつ便利過ぎると感じるのは、やはり連続殺人鬼キルオの存在でしょう。
神出鬼没だったり、重要な情報につながるネットワークを持っていたり、任務一直線の大男の気を反らすことができる唯一の存在だったり。
なんでも出来るジョーカーというか、彼がいることにより、物語が普通であればありえない方向に進んで行きます。

そこが、ちょっとひっかかるというか…、こんな便利キャラを用意せず、青柳の友人たちだけの助力で逃げ切れれば、もっと感動が深まるように思うのです。
でも、国家レベルの陰謀に巻き込まれた日には、こんな便利キャラでもいないとやはり逃げ切れないのかもしれませんね。

でも、伊坂幸太郎作品でよく感じることなんですが、なんだかセリフ回しが古臭い感じがするのはなぜなんだろう…。
伊坂さんと私は年齢は3つしか違わないはずなのですが、なんだか10歳くらい上の世代の人の会話を読んでいるような気がしてしまうのです。

ビートルズへのこだわりとか、ケネディ暗殺事件にまつわる会話とかが、なんだか一世代前のサブカルっていう気がするんだよなぁ。。。

まあ、伊坂幸太郎さんと私の知的レベルの差なのかもしれません。
あんまり真面目に学校にも行っていなかった私立文系なもので、おバカですみません。。。

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