【本】トラウマ映画館 / 町山智浩

トラウマ映画館

映画評論家、町山智浩の著書「トラウマ映画館」を読みました。

この本は、1970年代、町山氏が小・中学校の頃にテレビで放送されていたのを見て、心に残った映画の数々をまとめたもの。
作品のほとんどは、現在ではテレビで放送できないような内容で、DVDやビデオなども手に入らないもののようです。

精神錯乱、人種差別、虐殺、児童虐待、残酷描写、障害者差別、宗教問題…。
取り上げている作品は、今となっては「なんでテレビで放送できたんだろう」と不思議に思うような作品ばかり。

これは確かに、子どもの頃に見るとトラウマになりそうです。

1 「消えた旅行者」は存在したのか?――『バニー・レークは行方不明』
2 孤高の鬼才が描く、アイドルの政治利用――『傷だらけのアイドル』
3 人間狩りの果てに言葉を超えた絆を――『裸のジャングル』
4 『エクソシスト』の原点、ルーダンの悪魔祓い――『肉体の悪魔』 『尼僧ヨアンナ』
5 世界の終わりと檻の中の母親――『不意打ち』
6 ハリウッド伝説の大女優、児童虐待ショー――『愛と憎しみの伝説』
7 少年Aが知らずになぞった八歳のサイコパス――『悪い種子』
8 あなたはすでに死んでいる――『恐怖の足跡』
9 奴らは必ずやって来る――『コンバット 恐怖の人間狩り』
10 初体験は水のないプールで――『早春』
11 古城に吠える復讐の火炎放射――『追想』
12 人間対アリ、未来を賭けた頭脳戦――『戦慄! 昆虫パニック』
13 残酷な夏、生贄のかもめ――『去年の夏』
14 核戦争後のロンドンはゴミとバカだらけ――『不思議な世界』
15 アメリカが目を背けた本当の「ルーツ」――『マンディンゴ』
16 ヒルビリー、血で血を洗うご近所戦争――『ロリ・マドンナ戦争』
17 深夜のNY、地下鉄は断罪の部屋――『ある戦慄』
18 メーテルは森と湖のまぼろしの美女――『わが青春のマリアンヌ』
19 真相「ねじの回転」、恐るべき子どもたち――『妖精たちの森』
20 十五歳のシベールは案山子を愛した――『かもめの城』
21 サイコの初恋は猛毒ロリータ――『かわいい毒草』
22 聖ジュネ、少年時代の傷――『マドモアゼル』
23 二千年の孤独、NYを彷徨う――『質屋』
24 復讐の荒野は果てしなく――『眼には眼を』
25 誰でも心は孤独な狩人――『愛すれど心さびしく』

各作品について、取り上げられている文字数はそんなに多くないのですが、作品の内容やその作品が意味しているもの、作品のキモなどが、ネタバレでわかりやすく語られています。

最後の方に取り上げられている作品では、在日韓国人の父親と日本人の母親の間に生まれた町山氏自身のトラウマにも、リアルに触れていたり。
自分の受けた虐待と、映画から受けた映像のインパクトが、自分自身にもたらした影響について、冷静に受け止め、分析されているようです。

私は、筆者と一回りくらい年齢が離れているため、あまりテレビでこんなに濃い映画を見た記憶がありません。
(田舎出身のせいかもしれませんが…)
取り上げられている作品も、どれも見たことがありませんでした。

見てみたい作品ばかりですが、これは日本での正式ルートでの入手は無理だろうなあ。
YouTubeとか、DailyMotionなどの動画サイトで探してみれば、もしかしたらあるかもしれませんが。

それにしても、町山氏の映画に関する広く深い知識には、毎度のことながら感嘆するばかり。
これからも勉強させていただきたいと思います。

トラウマ映画館
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