【本】儒教と負け犬／酒井順子

2010/5/22 本

2003年に、著書「負け犬の遠吠え」にて「30代以上、未婚、子無し」の女性を“負け犬”と名付け、様々な論争を巻き起こした酒井順子。
彼女が東京、ソウル、上海のアジア三都の“負け犬”状況を調査し、その三都の負け犬たちに“儒教”が及ぼした影響を考察した本「儒教と負け犬」を読みました。

儒教の教えが、本当に女性の負け犬化を助長させているのか…、これは、はっきりとはわかりません。

でも、ソウルにも、上海にも、確実に負け犬はいるようです。
ちなみに、日本で言うところの“負け犬”のことを、韓国では“老処女（ノチョニョ）”、中国では“余女（ユーニュイ）”と呼ぶそうで。ストレートすぎだろ、中国。。。

本書では、東京・ソウル・上海の各都市在住の30～45歳までの独身女性、各200人にインターネットでアンケートをとっています。
その中で導きだされた各都市の女性たちの特徴は、以下のようなものだそう。

“東京負け犬は、色々な人と付き合ってはきたけれど今は恋人がいない、もしくは恋人がいたとしても何となく付き合っている。一人暮らしなのでセックスは割と誰とでもやってしまい、不倫も経験あります”

“ソウル老処女は、実家暮らしなので普段はあまり遊ぶことはできないし恋人もいないのだけれど、セックスに対する興味は少ないわけではないし、不倫も誘われたらしてしまうかも”

“上海余女は、「この人とは結婚できない」と思うような男とは無駄なので交際しないし、簡単にセックスもさせない。当然、不倫などしても何ら特にはならないので、そんなこともしない”

…東京負け犬、これってどうなんでしょう。。。ゆるすぎだろ。。。
もうちょっと誇りを高く持って頑張らないとね…（遠い目）。

＜感想＞
2003年の発売当時、いち早く入手した友人から「これ面白いから読んでみて！」と薦められて読んだ「負け犬の遠吠え」。
まるで自分のことをすべて見抜かれているようで、「ヤバい！　これ当たり過ぎ!!」と、自分と自分の友人たちを思い浮かべては大笑いしておりました。

その後、「負け犬の遠吠え」がブームになると、「負け犬なんて言い方ヒドイ！」と怒っている女子を見かけるようになり、「あれ、これ笑って読んでたけど、怒るものなんだ…。ていうか、『当たってる！』とか言って笑っている人間こそが、正しく本物の負け犬タイプなのでは…」と空恐ろしくなったのを覚えています。

そして、それから7年が経った現在も、負け犬街道を驀進中の私。

「論語」もよくは知らないし、「女大学」なんか読んだこともないし、儒教の教え自体もよくは知らないのですが、やはり優劣をつけるならば男性の方が上、年上の人は（いちおう）敬う、という感覚はあります。

でも、その儒教的教えが自分の負け犬化を招いたのかというと…、本書を読んでも、結局よくわかりませんでした。
実際、『セックス・アンド・ザ・シティ』、『ブリジット・ジョーンズの日記』のように、儒教なんて関係ないであろうニューヨークにもロンドンにも負け犬はいるわけですし。

でも、この各国の負け犬のタイプ分析はなかなか面白かったので、もっと世界各国のこういった調査を見てみたい気がしました。

儒教と負け犬