【本】ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 / スティーグ・ラーソン

ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 上

作家スティーグ・ラーソンの書いた「ミレニアム」シリーズ三部作の最終巻「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士」を、やっと読み終えました。

いやー、長かった! でも、本当に面白かった!!

この作品の魅力は、なんといっても人物描写が詳細で、リアルなところ。
あまりなじみのないスウェーデンという国の、しかも公安警察が一人の少女に対して行った陰謀という話なのですが、そのリアルさや詳細な描写、そして魅力的なキャラクターたちのやりとりに、ついつい引き込まれてしまうのです。

しかし、やっぱり女は強い。
こういう強い女たちが実力を発揮できる世界って、やはり素敵だと思います。
まあ、リスベットやエリカ、アニカほか、名前も知られていない数々の女性たちがいろいろな目に会ってきたからこそ、そんな世界がやっと出来上がってきたのでしょうが。。。

<STORY>
ザラとの死闘の末、瀕死の重傷を負ったリスベットは入院。ミカエルは彼女にPDAを与え、自伝を書くように勧める。そして、弁護士をしている妹・アニカにリスベットの弁護を頼んだ。しかし、ザラに特権を与えていた公安警察内の秘密組織“班”は、リスベットの口をふさぐため、再び彼女を陥れようと、様々な陰謀をしかけてくる。ミカエルはアニカやリスベットのハッカー仲間らと協力しながら、彼女を理不尽な陰謀から守るために立ち上がる…。

<感想>

ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 下

この作品の主役は、リスベット・サランデルという女性です。
彼女は、映像記憶能力や天才的な数学やハッカーの能力などを持った女性ですが、悲惨な運命を送ってきました。

父親がロシア出身の元KGBのスパイであったため、陰謀に巻き込まれ、“無能力者”というレッテルを貼られてきたのです。
父親のザラチェンコは、リスベットの母親に暴力をふるい続け、母親を助けようとしたリスベットは、父親に向かって火をかけます。
そのせいで精神病院に入れられた彼女は、成長しても無能力者と認定され、一人前の人間として扱ってもらえませんでした。

実は、彼女の父親・ザラチェンコを庇護する公安警察内の秘密組織“班”の陰謀で、リスベットの反論はすべて封殺され、彼女は社会的に抹殺され続けてきたのでした。。。

本書「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士」では、いよいよリスベットの名誉が回復されます。
その名誉の回復を指揮したのは、ジャーナリストであるミカエル・ブルムクヴィストです。
しかし、リスベットの事件に関して実際の作業や調査を行ったのは、ほぼ女性陣。

弁護士のアニカ・ジャンニーニがリスベットの弁護をし、公安警察憲法保障課のモニカ・フィグエローラ刑事やストックホルム県警犯罪捜査部のソーニャ・ムーディグ刑事が捜査を行い、リスベット事件の解決に尽力してきたのです。

この物語は、権力を持った男性たちが起こした事件で傷つけられた一人の少女の名誉を、タフな女性たちが回復させるまでの物語。
もちろん、タフな女性たちに協力する男性(ミカエル・ブルムクヴィストとか)もいるのですが、主に戦っているのは女性です。

表向きは男女平等と言われる社会でも、女性であるというだけで不利益を受けたりすることもある中、しなやかに戦い続ける彼女たちアマゾネスの姿は、かなり壮快でした。

もちろん、この作品の面白さはそんなアマゾネスの活躍だけではありません。
一つ一つの事件を解きほぐし、絶対不利かと思われた裁判を、弁論によって有利に導いて行く、法廷劇的な面白さや、プレイボーイだけれど基本的に人はいいミカエル・ブルムクヴィストや、謎に満ちた天才少女リスベット・サランデル始めとするキャラクター造形の面白さなど、たくさんの魅力が詰まっています。

シリーズ三部作(それぞれ上下巻)で計6冊もある、かなりボリュームたっぷりな本シリーズですが、本当に読み応えのあるシリーズでした。
孤島ミステリーのような第一作「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」、謎の組織によって狙われる暴力犯罪小説のような「ミレニアム2 火と戯れる女」、事実を積み上げて解決に導いて行く法廷劇のような「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士」と、それぞれに違う魅力を持ったこのシリーズ。

時間が取れる時などに、まとめて一気読みなどしてみるのも面白いと思います。
でも、せっかく読むのであれば、ぜひ最後の「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士」まで読むことをオススメします。

なんせ本作はデヴィッド・フィンチャー監督、ダニエル・クレイグ主演でハリウッド映画化も進んでいるところ。
面白さは、ハリウッドの保証付きですから!

 
【関連作レビュー】
■映画『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(スウェーデン版)http://c-movie.jp/review/millennium/
■映画『ミレニアム2 火と戯れる女』(スウェーデン版)http://c-movie.jp/review/the-girl-who-played-with-fire/
■映画『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』(スウェーデン版)http://c-movie.jp/review/the-girl-who-kicked-the-hornets-nest/

■映画『ドラゴン・タトゥーの女』(ハリウッド版)http://c-movie.jp/review/the-girl-with-the-dragon-tattoo/

◆【本】ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女 / スティーグ・ラーソンhttp://c-movie.jp/book/man-som-hatar-kvinnor/
◆【本】ミレニアム2 火と戯れる女 / スティーグ・ラーソンhttp://c-movie.jp/book/flickan-som-lekte-med-elden/
◆【本】ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 / スティーグ・ラーソンhttp://c-movie.jp/book/luftslottet-som-sprangdes/

 

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