【映画レビュー】劇場版 零~ゼロ~
「少女というものは美しいものだ…」と認識を新たにさせてくれる映画『劇場版 零~ゼロ~』。
“女児”や“ギャル”であることは容易いけれど、“少女”であることは難しい現代に、触れたら壊れてしまいそうな幻想に満ちた“少女”の美しさが満ち満ちた、美しい少女映画です。
前作の『バイロケーション』もそうだったけれど、安里麻里監督は、下手をすると安っぽく子ども騙しになりかねない素材を、自分なりのレシピで料理して、見事な一品に仕上げる手腕がとても素晴らしい。
前作より、その料理の腕はさらに上がっていると思います。
<STORY>
山間にある全寮制の女子校、聖日女学園。卒業を前にしたある日、3年生のアヤが、部屋に籠って出て来なくなる。さらに、アヤを心配し憔悴するカスミも山の中で姿を消す。二人を心配するミチはカスミの部屋でアヤそっくりの美少女の写真を発見し、それ以来アヤの幻を見るように。その後、「午前零時、好きな人の写真にキスする」という学園に伝わるおまじないを実行した生徒たちが次々に姿を消し、やがてオフィーリアのように水死体となって発見される…。
<解説>
この物語の舞台となるのは、閉ざされた山間にある全寮制の女子校です。
美保純演じるシスターが学園長を務めるこの学園では、白襟がまぶしい黒のワンピースに身を包んだ少女たちが、少女としての最後の時間を過ごしているのです。
そんな学園で起こる、不思議な出来事の数々。
学園の生徒たちの憧れの存在・アヤ(中条あやみ)が部屋に引きこもったことをきっかけに、アヤを心配する生徒たちが次々に失踪。
やがて水死体となって発見されます。
ミチ(森川葵)の前にもアヤの幻影が現れますが、その幻影に引き込まれそうになった時、現実に引き戻してくれたのは、現実に生きてその場に立っていた、アヤ。
実は、アヤの元もアヤそっくりの少女が夢に出て「私の呪いを解いて」と訴えてきたと言い、アヤとミチは、その呪いの正体を探り始めます。
学園に古くから伝わる“女の子だけがかかる呪い”とは何なのか?
アヤにそっくりな少女は誰なのか?
なぜ少女たちは水死体となって発見されたのか?
そのすべての謎が解けたとき、少女たちは、少女の特別な時間から抜け出し、大人にならざるを得なくなるのです。。。
本作の礎となるのは、霊を映し出すカメラ“射影機”を手に霊と戦う和風ホラーゲーム「零(ゼロ)」シリーズ。
この大ヒットホラーゲームを受けた大塚英志の原作「零~ゼロ~ 女の子だけがかかる呪い」を実写映画化したのが、本作なのです。
ゲームの重要な要素である射影機”などの要素を盛り込みながら、独自のテイストの映画作品を作り上げた安里麻里監督の手腕は、やはりなかなかのもの。
同じく大塚英志の作品に出てくる「黒鷲死体宅配便」のキャラクターが急に登場したりするのは、ちょっと蛇足に思えますが、大人の事情やファンサービスという面もあるのでしょう。
美しい少女たちの呪いと解放、そして成長を描いた本作『劇場版 零~ゼロ~』、ジャンルとしては“ホラー映画”と分類されるものですが、それだけでは惜しい一作。
“少女映画”として、ホラー嫌いの人にも観て欲しい、耽美な一作です。
『劇場版 零~ゼロ~』(105分/日本/2014年)
公開:2014年9月26日
配給:KADOKAWA
劇場:全国にて
日本(2014)
原作:大塚英志
製作総指揮:角川歴彦/襟川恵子
監督・脚本:安里麻里
出演:中条あやみ/森川葵/小島藤子/美山加恋/山谷花純/萩原みのり/中村ゆり/浅香航大/中越典子/美保純
公式HP:http://zero-movie.jp/
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