バイロケーション
実際に存在する超常現象、バイロケーションをモチーフにした映画『バイロケーション』。
バイロケーションとは何かと言うと、「同時間に、一人の人間が複数の空間に存在すること」という、同時両所存在のことなのだそうです。
この作品で描かれるのは、“本体”の人間の人生を奪いに、もう一人の自分“バイロケーション”が襲ってくる世界。
監督・脚本を務めた安里麻里は、バイロケの恐怖を雰囲気たっぷりの映像で描き出しています。
<STORY>
画家を目指していた桐村忍は、マンションの下の階に引っ越してきた高村勝と出会い、結婚する。絵を描くため、マンションの5階と6階を行き来しながら暮らしていた。ある日、自分とそっくりなもう一人の自分“バイロケーション”がいるということを知る。飯塚という男の主宰するバイロケーションの会に参加した忍は、バイロケーション被害に悩む刑事の加納、大学生の御手洗、主婦の門倉、そしてネックウォーマーで顔を隠す少年・加賀美と出会う。
<Cheeseの解説>
若手ホラー作家・法条遙が第17回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞した原作小説を、安里麻里監督が水川あさみ主演で映画化した本作。
1月18日公開公開の「表」バージョン、2月1日公開の「裏」バージョン、2パターンでの連続公開も話題です。
ちなみに、主題歌も黒夢が歌う「ゲルニカ」(表)、FAKYが歌う「The One」(裏)の2パターンがあったり。
この歌の違いについて考えていると、裏と表のテイストの違いを感じられるかもしれません。
私はいちおう両バージョンを拝見させていただきました。
個人的には、裏バージョンにはちょっと納得できないですね…。
この映画が描く“バイロケーション”、本当に存在する超常現象なのだそう。
しかし、本作のバイロケーションが恐ろしいのは、本来の自分とまったく違わないバイロケーションが本体であるはずの自分を襲ってくる、ということ。
バイロケの特徴は…(映画版の設定です)
・バイロケは、人間が相反する感情で精神的に引き裂かれた時に発生する。
・バイロケが発生する時は弱い風が吹き、黒い煙とともに現れる。
・発生直後のバイロケは、瞳が白く濁っており、白目を剥いているかのように
左右の眼球がゆっくりと不規則に回転している。
・発生したバイロケは実体を持ち、行動する。
・バイロケは、自分こそが本物(オリジナル)だと思い込んでいる。
・バイロケはオリジナルよりもキャラクターが濃い。
・バイロケはオリジナルを敵視している。
・バイロケが発生するのは、オリジナルからの距離が1414.2135m以内。それ以上離れると消滅。
・一度発生したバイロケによる副産物の存在時間は23分57秒226。
・バイロケとオリジナルとはシンクロしている。
・オリジナルの新しい記憶は、随時バイロケにも上書きされる
・オリジナルが負ったケガは、バイロケにも反映される
・バイロケとオリジナルとの見分け方:オリジナルは鏡に映るが、バイロケは映らない
これを覚えておくと、もしかしたら作品の理解が進むかもしれません。
特に、「オリジナルの新しい記憶は、随時バイロケにも上書きされる」がポイントかも。
でも逆に、この設定をよく見ると「え? そしたら、あの某バイロケのセリフ、おかしくない?」と思ったりもするのですが。。。
相反するふたつの感情に引き裂かれたバイロケーションというもう一人の自分が、本当に自分が欲しいものを手に入れるため、本体を襲って来るのです。
自分である以上、思考のパターンも同じということ。
自分とまったく同じ能力、自分とまったく同じ思考を持つ存在から逃げ切ることは、どう考えても不可能ですよね。。。
この作品、「『シックス・センス』を超える衝撃」という惹句で売っているだけあって、ネタバレしてしまってはこれから観る人にはまったく面白くなくなってしまうことでしょう。
確かに、観終わった後にはもう一度確認してみたくなるはず。
ネタバレはしないようにしておきますが、これから観る人は“色”に注意して観るといいかもしれません。
まあ、思わせぶりな割に特に回収のない伏線らしき映像や思わせぶりな設定なども多いですし、「ん? それってバイロケの原則から外れないか?」と思ってしまう点もいくつか。
こういった作品は、バイロケの設定について頭に入れておいてツッコミを入れたり、どれがトラップなのかを考えながら気楽に観るのが正しいのかもしれません。
『バイロケーション』(119分/日本/2014年)
公開:2014年1月18日
配給:KADOKAWA
劇場:角川シネマ新宿、池袋HUMAXシネマほか全国にて
原作:法条遙
監督・脚本:安里麻里
出演:水川あさみ/千賀健永/高田翔/滝藤賢一/浅利陽介/酒井若菜/豊原功補/マイコ
公式HP:http://www.bairoke.jp/
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