リアル～完全なる首長竜の日～

2013/5/24 日本映画ら行, 映画レビュー

昏睡中の恋人の意識の中に入り込み、その恋人の本当の心理を探ろうとする試みを描いた映画、『リアル～完全なる首長竜の日～』。

人の深層心理を見事なビジュアルエフェクトで映像化した黒沢清監督の意欲作です。

ストーリー自体は割と先の読めるものではありますが、佐藤健、綾瀬はるかという魅力的な主演俳優の存在とその映像表現のおかげで、見応えのある作品に仕上がっています。

＜STORY＞
浩市は幼なじみの漫画家・敦美と同棲していたが、敦美が自殺未遂を起こし、1年間昏睡状態に陥ってしまう。浩市は敦美が目覚めさせるため、センシングという最新医療で敦美の意識の中へ入ることに。そこで敦美は不安に取り憑かれたように、漫画を書き続けていた。敦美に「15年前に書いた首長竜の絵を探して」と頼まれた浩市は首長竜の絵を探すが、なかなか見つからない。やがてセンシングの副作用で謎の少年の幻覚が見えるようになり…。

＜Cheeseの解説＞
佐藤健演じる浩市は、綾瀬はるか演じる自殺未遂で昏睡状態に陥った恋人・敦美の意識の中へ、“センシング”という医療技術を使って入り込みます。

この意識の中の世界が、現実のような夢のような、まさに不思議な世界。
よく夢を見ている時、夢の中では違和感はないものの、後から思い返せば場所のつながりがおかしかったり、変な登場人物がいたりすると思うのですが、その感覚がそのまま映像化されているのです。

また、敦美がグロテスクなマンガを描いている人気漫画家という設定のため、意識の世界の中に、漫画の世界が具現化したようなグロテスクな幻が登場したりも。
意識のないミイラのようなオダギリジョー、染谷将太の演技も面白く、不思議な世界観を楽しめる一作です。

『リアル～完全なる首長竜の日～』（127分／日本／2013年）
公開：2013年6月1日
配給：東宝
製作国：全国にて
原作：乾緑郎
監督・脚本：黒沢清
脚本：田中幸子
出演：佐藤健／綾瀬はるか／オダギリジョー／染谷将太／堀部圭亮／松重豊／小泉今日子／中谷美紀
公式HP：http://www.real-kubinagaryu.jp/