【映画レビュー】魔法使いの弟子／ The Sorcerer’s Apprentice

2010/7/17 外国映画ま行, 映画レビュー

多趣味多芸の映画オタク、コッポラ一族の若旦那、ニコラス・ケイジが製作を手掛けた映画『魔法使いの弟子』。

『ファンタジア』の中の一編『魔法使いの弟子』のような作品を演じてみたいと思っていたニコラス・ケイジは、なんと自ら脚本チームを組んで第一稿を作り、ハリウッド随一、いや世界第一の大物プロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーに持ち込んだのだとか！

そんなきっかけで作られたこの映画『魔法使いの弟子』は、いい感じにユルさもあり、視覚化された魔法の映像の数々も楽しく、何も考えずに楽しめる夏休み映画です。

ハリウッドという厳しい世界で、幼い頃からの憧れを現実化できるコネクションと手腕を持った、ニコラス・ケイジという俳優。
ただのオタクでは終わらず、「アメコミヒーローやりたい！」「あのカルト作をリメイクしたい！」「『ファンタジア』に出たい！」と、次から次に夢を現実化していきます。

そんな彼の世界観を、ゆったりとした気持ちで楽しみたい作品です。

しかし、彼が夢を現実化させた作品って、当たらないのが多いんですけどね……。

＜STORY＞
物理オタクの冴えない大学生・デイヴの前に、10年前に出会ったことのある魔法使い・バルサザールが現れた。彼は善なる魔法使い・マーリンの弟子で、デイヴのことをマーリンの後継者となる“選ばれしマーリニアン”だと言うのだ。デイヴはバルサザールから魔法の手ほどきを受けるが、なかなかうまくいかない。しかしその頃、邪悪なる魔法使いたちも甦ろうとしていた。やがて、ＮＹを舞台にした、善と悪の魔法大戦争が始まる…！

＜解説＞
ディズニーのアニメ作品を元にしているだけあって、どこか可愛らしく華やかなこの作品。
ご家族で楽しめるファミリー・ムービーに仕上がっています。

なにより楽しいのは、やはり“魔法”を視覚化しているところ。
どう見てもカメハメ波なプラズマ・ボルト攻撃や、クライスラー・ビルの壁面を飾る鋼鉄のワシが命を吹き込まれ大空に飛び立つ姿、チャイナ・タウンの龍人形がリアルなドラゴンに変わって行く様子など、魔法ならではのイマジネーションにあふれた映像がなんとも素敵です。

特に、あのチャイナ・タウンに舞い散る紙吹雪の美しさったら…、なんとも言えないエキゾチックな雰囲気です。
このシーンは、ニューヨークのチャイナタウンにあるエルドリッジ通りを、夜間2週間ほど借り切って撮影が行われたそうなのですが、それだけの大がかりな撮影を行ったからこそ、こんなフォトジェニックなシーンができあがったのでしょう。
さすがブラッカイマー、使うところにはドカーンと使ってくれますね。

さて、そんな魔法のシーンが素敵なこの作品、『ファンタジア』の中の『魔法使いの弟子』のワンシーンを、実写でバッチリ再現してくれています。
楽しそうに踊るモップたちを実写で観られるだけでも、この作品を観る甲斐があるでしょう。

もちろん、それ以外にも、この間もブラッカイマー作品の『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』に出ていたアルフレッド・モリナが本作にもまた出ていたり、“イタリアの宝石”モニカ・ベルッチが妖艶な魔法使いを演じていたり、細かい見所はたくさんありますよー。

そう言えば、本作で悪の魔法使いの弟子、ロックスター・イリュージョニストのドレイク・ストーンを演じていたトビー・ケベルくん。
どこかで観たことがあると思ったら、彼も『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』に出ていたのですね。
3兄弟の長男を演じていたそうですが、本作とはまったく雰囲気が違います。
この彼、もしかするとブラッカイマーさんに気に入られているのでしょうか。。。
もしかしたら次のブラッカイマー作品にも出てくるかも？
ちょっと、さりげなく注目していきたいと思います。

『魔法使いの弟子』（110分／アメリカ／2010年）
原題：The Sorcerer’s Apprentice
公開：2010年8月13日
配給：ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
劇場：全国にて
原案：マット・ロペス／ローレンス・コナー／マーク・ローゼンタール
製作：ジェリー・ブラッカイマー
製作総指揮：ニコラス・ケイジ／トッド・ガーナー／マイク・ステンソン／チャド・オマン／ノーマン・ゴライトリー／バリー・H・ウォルドマン
監督：ジョン・タートルトーブ
出演：ニコラス・ケイジ／ジェイ・バルチェル／アルフレッド・モリナ／モニカ・ベルッチ／テリーサ・パーマー／トビー・ケベル
公式HP：http://www.disney.co.jp/deshi/