【映画レビュー】ゲキ×シネ「蜉蝣峠」

劇団☆新感線と言えば、チケットが取れないことで有名な超有名人気劇団。
そんな人気劇団のお芝居を臨場感たっぷりに映画館で観られることで人気のゲキ×シネ7作目『蜉蝣峠』がいよいよ公開されます。

『メタルマクベス』に続く宮藤官九郎脚本作品である本作、中島かずき脚本とはまた違う毒気がたっぷり。
冒頭から堤真一さんは××××姿で登場するし、古田新太さんはフル○○で登場しちゃうし…。

<STORY>
闇太郎という男が蜉蝣峠で暮らしていた。彼には記憶がない。偶然に出会った元旅役者の銀之助に誘われ、闇太郎はロマン街という宿場町へ行く。その街は、25年前に大通魔という殺人鬼に襲われていた。盲目の老人・がめ吉の証言で、闇太郎は大通魔の殺戮の生き残りであることがわかる。現在のロマン街では、天晴(あっぱれ)と立派という二代ヤクザが勢力争いを繰り広げていた。そこで闇太郎は、幼なじみのお泪と再会するのだが…。

<解説>
劇団☆新感線は、出身大学が同じということもあって、大好きな劇団。
大学時代からよく観に行っていて、楽屋に遊びに行かせてもらったことも一度だけありました。

そんな大好きな劇団なのですが、なかなかチケットが取れないのです。
よく「今回も取れなかった…」と落胆していたのですが、このゲキ×シネが始まってからは、新感線のお芝居を見逃すことがなくなり、とてもうれしく思っています。

劇場で生でお芝居を観るのももちろんいいのですが、ゲキ×シネだと、生で観ている時には見られない、役者さんのアップの表情や細かい小道具なども見ることができるので、そこは本当に素晴らしいところです。

さて、『蜉蝣峠』について。

宮藤官九郎脚本作品と言うことで、冒頭ちょっとエログロや差別ネタが入ります。
そこがイヤだと感じる人は、やっぱりいるかもしれないですね。

また、おバカシーンはあるんだけれども、基本として哀調をおびているというか、冷たいムードがあります。
(私的には、中島かずき作品は、哀しい物語であっても、ベースは熱いイメージがあるような気が)

でも、だからこそ、通常のいのうえ歌舞伎とはまた違う、エッジィな雰囲気を感じます。

古田新太さんの得体の知れない雰囲気が、物語に本当にぴったりなのです。
堤真一さんの油断のならない二面性のある演技もまた素敵。
ポニーテール的な髪型も相まって、“色悪”という言葉がはまっています。

そして、ヒロインの高岡早紀さんの熱演もお見事。
無邪気で、ちょっとずるくて、でも素直で、バカなふりが上手な女を、愛らしく演じています。
この愛らしさと色っぽさは、高岡さんならではかも。

もちろん、客演陣以外にも、新感線の役者陣も歌って踊って大活躍しております。
高田聖子さんと橋本じゅんさんは祝言と離縁を繰り返すバカップル役でチュッチュチュッチュしてるし、粟根まことさんは口ばっかり達者なメガネの用心棒役で相変わらずの口八丁ぶりを見せてるし。

そうそう、じゅんさん、インディ高橋さん、逆木圭一郎さんのPerfumeなりきりダンスも見逃せません。
あ、右近健一さんのシンガーっぷりもね。

と、いろいろ書いてきたのですが、新感線ファン以外の方にはあまり意味がわからないかもしれません。

でも、ゲキ×シネは、普段お芝居を見ない人、劇団☆新感線を知らない人にこそ観て欲しい作品。

近頃、歌舞伎やオペラを映画館で上映する試みがさかんに行われていますが、その試みに先鞭をつけたのは、ゲキ×シネじゃないかと思っているのですが。。。
ヴィレッヂさんには、本当に頑張っていただきたいと思っている私です。

『ゲキ×シネ 蜉蝣峠』(167分/日本/2010年)
公開:2010年2月13日
配給:ヴィレッヂ、ティ・ジョイ
劇場:新宿バルト9ほか全国にて
作:宮藤官九郎
演出:いのうえひでのり
出演:古田新太堤真一高岡早紀勝地涼木村了高田聖子
公式HP:http://www.kageroutouge.com/

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