ヘルプ ~心がつなぐストーリー~ / The Help

Help

1960年代のアメリカ南部を舞台に、自分を育ててくれた黒人メイドたちが受けている差別を本にまとめてセンセーションを巻き起こした女性と、彼女に協力する黒人メイドたちの姿を描いた映画『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』
タイトルの“ヘルプ”というのは、お手伝いさんということですね。

くるくるおめめとくるくるヘアーで好奇心いっぱいに突き進んでいく作家志望の白人女性をエマ・ストーンが演じています。

彼女に協力する黒人メイドを演じるのは、ヴィオラ・デイヴィスオクタヴィア・スペンサー
二人とも第84回アカデミー賞に主演女優賞と助演女優賞でノミネートされ、オクタヴィア・スペンサーは見事オスカーを獲得しました。

虐げられた黒人メイドと、支配階級の白人女性たちの物語でありつつも、けして悲壮感はなく、未来を変えようとするエネルギーと、日々をより幸せに生きようとするパワーに満ちたこの作品。
物語もさることながら、裕福な白人女性たちのカラフルな60年代ファッションに手のかかった盛り髪、おいしそうな南部料理にイカついアメ車など、目でも楽しくさせてくれる一作です。

<STORY>

ヘルプ (上) 心がつなぐストーリー (集英社文庫)

1960年代、アメリカ南部では人種差別が堂々と行われていた。大学を卒業した作家志望のスキーターは、故郷のミシシッピ州ジャクソンに帰ってくる。幼なじみの友人たちは皆結婚して奥様となり、黒人メイドを使って優雅に暮らしていた。しかし、友人のヒリーは黒人は不潔だと言い、黒人メイド専用のトイレ設置を義務づける運動を始める。そんな状況に疑問を感じたスキーターは、黒人メイドの真実を描く本を書こうと、取材を始める…。

<Cheeseの解説>

ヘルプ (下) 心がつなぐストーリー (集英社文庫)

実話を元にしたこの映画には、4種類の白人女性が登場します。

ひとつは、エマ・ストーン演じるスキーターが象徴する、黒人メイドに何の差別感も抱いていない人物。
むしろ自分を育ててくれたメイドたちに愛と親しみを抱き、積極的に仲良くなろうとするタイプ。

もうひとつは、ブライス・ダラス・ハワード演じるヒリーのような、白人は黒人より優れていると信じて疑いもせず、当然のように黒人を差別するタイプ。

もうひとつは、自分を育ててくれた黒人メイドに感謝はしているものの、差別感は抱いており、流されるままにそのまま黒人差別を続けているタイプ。
アリソン・ジャネイ演じるスキーターの母・シャーロットなど、この作品に登場する白人女性のほとんどは、このタイプに属します。

さして最後に、ジェシカ・チャステイン演じるシーリアのような、“ホワイトトラッシュ”と白人の中でも差別されるタイプ。
このシーリアは、貧困家庭出身なのに、顔の良さとナイスバディで裕福な男を籠絡したと蔑まれています。
いわゆる白人富裕層が持つ偏見を植え付けられずに育っているので、何の偏見も持たず、むしろ良きアドバイザーのように無邪気に黒人メイドを頼ってきます。
この天然キャラのシーリアが、“愛すべきおバカさん”という感じで、本当に可愛らしいのです。
ちなみに、このシーリア役でジェシカ・チャステインもアカデミー賞助演女優賞にノミネートされました。

ヒリーやシャーロットたちが続けてきた差別に違和感を抱いたスキーターは、子育て上手なエイビリーンと料理上手なミニーという二人の黒人メイドたちからその差別の実態を聞き、本にまとめようとします。
何度も白人に裏切られ、心に傷を抱えつつ生きてきたエイビリーンたちは、最初はスキーターの申し出に反発しますが、スキーターやシーリアの無邪気な心に触れ、スキーターの取材に協力することを決心するのです。

割と類型的に描かれている白人女性に比べ、エイビリーンとミニーはかなり個性たっぷりに描かれています。

ヴィオラ・デイヴィス演じるエイビリーンは白人に恨みを持ちながらもそれを胸に秘め、諦めながら生きています。
しかし、その芯の強さから、自分たちが受けてきた言われない差別を告発しようと立ち上がるのです。

オクタヴィア・スペンサー演じるミニーは、思ったことをストレートに口に出すタイプ。
白人に文句を言いながらも、とんでもない方法で復讐を果たすちゃっかりさと愛嬌を持ち合わせています。

言わば、静と動のようなエイビリーンとミニーが、作品をしっかりと引き締めていると言えるでしょう。
この二人がそれぞれアカデミー賞にノミネートされたのも納得です。

実際にあった黒人差別の歴史という、割と重いテーマを扱っていながら、この作品のイメージはふわふわと軽く、どこかカラフルです。
これは、おとぎ話のようなパステルカラー中心の登場人物たちの衣装や、白人女性たちの類型的な造形がそうさせるのでしょう。
ヒリーなんかは、実際にいたらかなりイヤなヤツだと思うのですが、むしろそのヒステリックさがユーモラスに感じられるように演出されています。
ある秘密を暴露させ、絶叫する姿などは、思わず笑わずにはいられないはず。
テイト・テイラー監督は、“人種差別をする白人女性”に嫌悪感を抱かせないよう、かなり注意したのではないでしょうか。

そして、スキーターとシーリアという“愛すべき白人女性”を登場させることで、この二人に現代の白人女性を象徴させているのだと思います。

人種差別や女性差別などをひとつひとつ無くしてきた先人たちの努力を、楽しみながら知ることができる作品です。

ちなみに、個人的にはブライス・ダラス・ハワードの意地悪キャラ、かなりツボでした。
あの尖った意地悪そうな鼻が、ホントに好き。

『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』(146分/アメリカ/2011年)
原題:The Help
公開:2012年3月31日
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
劇場:TOHOシネマズ シャンテほか全国にて
原作:キャスリン・ストケット
製作総指揮・監督・脚本:テイト・テイラー
出演:エマ・ストーンヴィオラ・デイヴィスオクタヴィア・スペンサーブライス・ダラス・ハワードジェシカ・チャステインアリソン・ジャネイシシー・スペイセク/ライラ・ロジャース/メアリー・スティーンバージェン/アーナ・オライリー/マイク・ヴォーゲル/ダナ・アイヴィ/シシリー・タイソン/デヴィッド・オイェロウォ
公式HP:http://disney-studio.jp/movies/help/

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