【映画レビュー】ターミネーター:新起動/ジェニシス / TERMINATOR:GENISYS
1984年、映画『ターミネーター』に登場し、その強靭な肉体と殺しても殺しても立ち上がるしつこさで、観客に強烈な印象を残したターミネーターT-800。
1991年の映画『ターミネーター2』では打って変わってかつてのターゲットを守る守護者となり、理想の父親のようなキャラクターにキャラチェンジしたT-800。
このアーノルド・シュワルツェネッガー演じるT-800が、新たな姿を見せてくれたのが、映画『ターミネーター:新起動/ジェニシス』です。
かつてのシリーズの流れを汲みつつも、まったく新しいストーリー展開で、さらには機械であるはずのT-800の老いまで感じさせる、製作者たちのリスペクトと創意工夫、ターミネーター愛がたっぷり入ったSFアクション大作です。
STORY
2029年、抵抗軍のリーダーで予言者と呼ばれるジョン・コナーは、やがて自分の母となるサラ・コナーの殺害を阻止するため、自分の右腕であるカイル・リースを送り込む。しかし、1984年に到着したカイルは機械軍が送り込んだT-1000ターミネーターに襲われ、サラ・コナーに助けられる。サラが9歳の頃、サラを守るためにT-800ターミネーターが送り込まれており、サラは女戦士として育っていたのだ。タイムラインの変化にカイルは戸惑うが、2017年に起こる新たな“審判の日”を阻止するため、サラと共にタイムマシンで2017年に向かう。
解説
「ターミネーター」シリーズの5作目に当たる本作(2003年の『ターミネーター3』はその存在を軽く流され、2009年の『ターミネーター4』に至ってはなかったことにされちゃってますが…)。
これまでのシリーズでは、「1997年に人工知能であるスカイネットが暴走し、“審判の日”が起こる」というのは、ひとつの既定路線でした。
『ターミネーター』では、その審判の日の後に、人類抵抗軍のリーダーとなるジョン・コナーの出生を阻止しようと、ジョンの母であるサラ・コナーを殺すためT-800が機械軍によって2029年から1984年に送り込まれ、サラ・コナーを守るためにカイル・リースが人類抵抗軍によって送り込まれることになります。
そして『ターミネーター2』では、無事に生まれて少年となったジョン・コナーを殺すため、新型ターミネーターのT-1000が機械軍によって未来から1993年に送り込まれ、ジョンとサラを守るため人類抵抗軍からT-800が送り込まれるのです。
そして本作『ターミネーター:新起動/ジェニシス』。
サラ・コナーを守るため、カイル・リースが人類抵抗軍によって1984年に送り込まれます。
しかし、実はその前、1974年に、何者かによってT-800が9歳のサラの元に送り込まれていました。
そして、両親を亡くしたサラはT-800に保護され、戦士としての訓練を受けながら成長していたのです。
(そのT-800は、言ってみれば10年落ちのマシーンと言うことで、肌の質感や髪の毛はちょっと老けた感じになり、サラからはオジサン呼ばわりされちゃってます)
この時点でタイムラインは変わり、1997年に起こるはずの“審判の日”は、新たな時の分岐を経て、2017年に起こることになっています。
しかし、そうとは知らずに1984年にやってきたカイル・リースは、状況がわからずに(別の未来から送り込まれた)T-1000に襲われ、そのままサラ・コナーに助けられることになります。
カイル・リースと同じタイミングで1984年にやってきたT-800は、10年前からその世界にいる老T-800に瞬殺されてたり。
このあたりの展開は、『ターミネーター』、『ターミネーター2』への目配せたっぷりで、シリーズファンにはうれしいところ。
かつてロバート・パトリックが演じたT-1000はイ・ビョンホンが演じ、無表情な殺人マシンぶりを楽しませてくれます。
こうやって、冒頭でシリーズファンをニヤニヤさせた後、物語は新たな展開に。
書き換わったタイムライン上での“審判の日”を止めるため、サラとカイルはタイムマシンで2017年へ向かうのです。
そこで、サラとカイルは新たなターミネーター、T-3000と戦うことになるのですが…。
本作『ターミネーター:新起動/ジェニシス』は、「そういえば、この作品にとって“タイムトラベル”って切っても切り離せない重要な要素だったんだ」と基本的なことを思い出させてくれます。
なんと、サラとジョン、そしてカイルという親子3人が同時代に揃って存在するという、かなりのタイムパラドックスを感じさせる展開。
もちろん、ストーリーや設定はそんなに単純じゃなく、あっと驚かせてくれるわけですが…。
1984年以来、世界中の観客を魅了し、様々な派生ストーリーを生み出してきたこのシリーズに、新たな方向性を提示したこの作品。
若き日のシュワちゃん VS 老けたシュワちゃんの戦い、今の時代の技術を駆使したT-1000の迫力のバトルなどを味わいつつ、新たな展開に胸踊らせながら観ていただきたいと思います。
関連ニュース
『ターミネーター:新起動/ジェニシス』ジェームズ・キャメロン インタビュー&最新映像:http://c-movie.jp/news/james-cameron-interview/
作品情報
『ターミネーター:新起動/ジェニシス』(126分/アメリカ/2015年)
原題:TERMINATOR:GENISYS
公開:2015年07月10日
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
劇場:全国にて
原作:ジェームズ・キャメロン/ゲイル・アン・ハード
製作:デヴィッド・エリソン/デイナ・ゴールドバーグ
監督:アラン・テイラー
音楽:ローン・バルフェ
エグゼクティブ音楽プロデューサー:ハンス・ジマー
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー/ジェイソン・クラーク/エミリア・クラーク/ジェイ・コートニー/イ・ビョンホン/ダヨ・オケニー/コートニー・B・ヴァンス/J・K・シモンズ/ノーラン・グロス/マット・スミス
Official Website:Terminator-movie.jp
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