【映画レビュー】ソウルフル・ワールド / Soul
魂の世界ってどんな世界?
人って何をするために生まれるの?
夢ってそんなに大事なもの?
そんな、誰もが一度は考えたことのあるような、人間の根幹に関わる疑問の数々。
そんな疑問にディズニー&ピクサー流の答えを見せてくれるのが、本作『ソウルフル・ワールド』です。
主人公のジョーが地上の人間の世界から落ちていく間の描写や、魂の世界の描写、高次元存在の造型など、その映像の美しさやクリエイティビティには舌を巻くばかり。
Disney+にてこの作品を見たのですが、できれば一度映画館のような映像環境でこの作品を観てみたかったものです。。。
<STORY>
ジャズミュージシャンを夢見る音楽教師のジョー・ガードナーは、45歳にしてやっとプロへの切符を掴む。憧れのジャズ・クラブでのライブに出演することとなって浮かれていた彼は、マンホールから落ちてソウルの世界へ迷い込んでしまう。そこで生まれる前の魂・22番と会った彼は、地上での人生を取り戻そうと、22番と一緒に地上の世界に飛び出した!これまで生まれることを拒否してきた22番にとっては、初めての地上の世界だった……!
<解説>
ディズニー&ピクサーが手がけた長編CGアニメーションである本作。
路上を歩いている最中にマンホールに落ち、ソウルの世界に迷い込んでしまった男が主人公です。
物語のはじまりは、現代のニューヨーク。
リアルな(といってもアニメですが)人間たちの世界が舞台です。
45歳の黒人男性である主人公のジョーは、ピアニストとしてやっと憧れの舞台に立てることに。しかし、ライブ出演が決まって浮かれながら歩いていたことで、マンホールに落ちてしまうのです。
マンホールから落ちた彼がたどり着いたのは、ソウルの世界。
そこは淡い色調に彩られた、魂たちが生きる世界。まるで魂や精神という“概念”をそのまま映像化しているような世界です。
理想郷のようにも見えますが、(当たり前ではありますが)非人間的な、高次の世界なのです。
そこでジョーは22番と呼ばれる魂と出会います。
22番は、人間として生まれることを拒否し、何百年もその世界に存在し続けている魂。
「生まれたくない」「やりたいことやなりたいものなんてない」と生まれる前から生まれることを拒否するひねくれっ子の22番。
なんとアルキメデスやマリー・アントワネット、エイブラハム・リンカーンにマザー・テレサ、モハメド・アリといった世界史に名を残すソウルたちでも彼女を生まれるように説得できなかったというから、その頑固さは折り紙つき。
ソウルも世界でも、22番の扱いに困っているのです。
なんとしてでも人間の世界に戻り、ミュージシャンになりたいと考えるジョーの魂は、22番と一緒に人間の世界に戻ることになります。
22番と共に“人間の世界”を再体験した彼は、その意味を再認識することになるのです。
その認識は、22番にとっては、「初めてのもの」だったのです。。。
どんなに魂の世界で長く暮らしていて知識を得ていたとしても、実際に人間として生まれてみて初めて知ることができるものがあります。
それは、世界のどこにでもあるものなのです。。。
共同監督や脚本を務めたケンプ・パワーズは、10年以上もジャーナリストとして活動しつていたそう。映画の世界を目指して脚本の勉強をし、40代になってピクサーに入社するという夢を叶えた人物です。
音楽教師として生活しながら、ジャズミュージシャンの夢を目指すジョーそのままのような人物。
彼のような人物が制作に携わっているからこそ、キャラクター造形や物語に、とおり一遍ではない深みが出ていると言えるでしょう。
人間としてこの世界に生きていると、なかなか気づかないもの。
ピート・ドクター監督は、なんでもない“それ”の素晴らしさを、素晴らしい映像として私たちに提示してくれました。
『ソウルフル・ワールド』(101分/アメリカ/2020年)
原題:Soul
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
配信:Disney+にて
製作:ダナ・マーレイ
監督・脚本:ピート・ドクター
共同監督・脚本:ケンプ・パワーズ
脚本:マイク・ジョーンズ
音楽:トレント・レズナー/アッティカス・ロス
演奏:ジョン・バティステ
声の出演:ジェイミー・フォックス/ティナ・フェイ/クエストラブ/フィリシア・ラシャド/ダヴィード・ディグス/アリシー・ブラガ/リチャード・アイオアディ/ウェス・ステュディ/アンジェラ・バセット/サキナ・ジャフリー
声の出演(日本語吹替版):浜野謙太/川栄李奈/福田転球/梅田貴公美/木村昴/瑛人/北西純子/多田野曜平/後藤敦/仲野裕
Official Website:https://www.disney.co.jp/movie/soulfulworld.html
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 (2021-04-28T00:00:01Z)
¥7,095
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 (2021-04-28T00:00:01Z)
¥5,336
Universal Music (2020-12-22T15:00:00.000Z)
¥2,150
講談社 (2020-11-13T00:00:00.000Z)
¥825