ニード・フォー・スピード ／ Need for Speed

私はペーパードライバーです。
教習所の教官に「負けず嫌いで遵法意識の低いあなたは、絶対事故を起こすと思うよ。なるべく車は運転しない方がいいと思うよ」と言われて以来、何があっても助手席か後部座席にしか座らないようにしているのです。

そんな私ですが、つい「車を運転してみたい！」と思うような映画に出会いました。
それがこの映画、『ニード・フォー・スピード』です。
まあ、この映画を観た後に私なんかが運転したら、確実に事故に遭いそうですけどね…。

スーパーカーレースの迫力と、車のカッコ良さ、そしてアメリカの警察の到着の遅さに、驚かされた一作です。

父親の遺した小さな自動車修理工場で仲間たちと働く天才レーサー＆エンジニアのトビーは、かつての仲間だったプロ・ドライバーのディーノ、弟分のピートと共に公道レースを行い、ピートを事故死させてしまう。トビーは刑務所に入ることとなるが、ディーノはその場所にいたことを否定し、罪を逃れるのだった。2年後、仮出所したトビーは、ディーノも参加する伝説のレース“デレオン”に参加し、ディーノを負かして復讐しようと準備を始める…。

1994年にエレクトロニック・アーツから発売が開始されたストリート・レースのアクション・ゲームシリーズ「ニード・フォー・スピード」。
この人気のゲームシリーズを実写映画化してみせたのが、この作品です。

アーロン・ポール演じる主人公のトビー・マーシャルは、ニューヨーク州の公道レース、アメリカ大陸を横断し中西部の砂漠を駆け抜ける耐久レース、そして警察車とのカーチェイスを繰り広げながら優勝を目指す伝説のレースなど、様々なタイプのレースに対応したドライビングを見せています。
天才的なドライバーで、メカニックとして確かな腕を持つ彼は、仲間たちと共に父親の遺した自動車整備工場を経営しつつ、ストリート・レースに参加したりしています。

チーフ・メカニックのジョー（レイモン・ロドリゲス）、ハイテク担当のフィン（ラミ・マレック）、パイロットのベニー（スコット・メスカディ）など、彼の仲間もいい奴ばかり。
幼なじみならではのツーカーのチームワークで、見事にトビーのレースをサポートしています。

そんな彼らを陥れようとするのは、ドミニク・クーパー演じるディーノ・ブルースター。
かつてはトビーの仲間だったものの、現在はプロドライバーになった彼は、絵に描いたようなリッチでイヤな奴です。
トビーの元カノ・アニータを寝取り、アニータの弟・ピートの死亡事故の原因を作ったにも関わらずその事実を隠蔽し、事故の責任をトビーに被せます。
そして、ピートの死の原因をトビーに負わせておきながら、自分はのうのうとアニータと裕福な暮らしを送っているのでした。

2年後、仮出所したトビーは、仲間たちと力を合わせて、かつて自分たちが未完成の状態からチューンナップしたフォード・シェルビー・マスタングを用意し、ある伝説のレース“デレオン”への参加を目指します。
その参加権を得るため、カーブローカーのイギリス美女・ジュリア（イモージェン・プーツ）と共に、東海岸から西海岸へ、45時間で大陸横断を敢行。
そして、その“デレオン”でプロドライバーのディーノを打ち負かそうとするのです。。。

この映画の監督、スコット・ワウは、スタントマンの父親を持ち、自身もスタントマンだったという経歴を持つ監督です。
つまり、この映画はカースタントを楽しむための映画なのですね。
爆発、炎上、クラッシュ、事故でふっとぶ高級車…、カースタントには、とにかくこだわりが詰まっています。

その分、ストーリーやキャラクターは、かなり単純化されています。
トビーは仲間からも好かれるナイスガイで、ディーノはどこまでもイヤな奴。
そしてナイスガイがイヤな奴に正々堂々と挑戦し、勝利を目指す。。。

最近の映画の複雑なストーリー展開に慣れた目には、この映画はある意味新鮮。
「あれ？　この人には何か裏があるの？」などと深読みする必要もなく、単純にカッコ良い車たちの走りを堪能すればよいのです。
たまにはこういう映画を観て、テンションをあげてドライブに出かけるのもよいかもしれません。
まあ、事故にはくれぐれも気を付けて。。。