シッコ / SICKO
ドキュメンタリー映画界のアポなし突撃監督、マイケル・ムーアの新作『キャピタリズム~マネーは踊る~』が12月5日に公開されました。
新作鑑賞前に前作をきちんと観ておこうと言うことで、前作『シッコ』をDVDにて鑑賞。
10日までに保険料を振り込まなくてはならず、「諭吉が飛んでいく…」と、ちょっとブルーになっていた私でしたが、これを観て文句言わずに振り込む気になりました。
三割負担とはいえ、自分で好きなタイミングで、好きな病院に行けるっていうのは、やっぱりありがたいことですよね。。。
<STORY>
マイケル・ムーアがアメリカの医療制度の問題に目を着けた。会社の福利厚生の健康保険を受けるためだけに、スーパーで清掃の仕事を死ぬまで続けるという老人。民間の健康保険に加入していたのに、保険会社が保険金を下してくれないために骨髄移植が受けられず死亡した男性。米国の様々な事例を列挙した後、ムーアは米国の健康保険の制度が作られた歴史や、カナダ・イギリス・フランス・キューバなどの医療制度をレポートしていく。
<解説>
この映画で、マイケル・ムーアは様々な実例を取り上げます。
民間の健康保険に入っていたにもかかわらず、保険が下りずに適切な治療が受けられず、家を売る羽目になったり、巨額の医療費を請求される羽目になったり、ひどい場合は死んでしまったり…。
ムーアは被保険者だけではなく、保険会社で働いていた人にも迫ります。
利益のために、保険会社は、保険金の支払い申請を10%は否認することをノルマにしています。
保険会社で電話を受けていた女性は泣きながら「自分のしていたことが本当につらかった」と語り、支払い否認のために契約書のミスを発見することをミッションとしていた男性は「あれはひどかった。あんな仕事を辞められて本当によかった」と語ります。
保険が受けられなかった人も、保険会社で働いている一般社員も、誰もがつらい思いをしているこの医療制度。
いったい誰が得しているのでしょう。
保険会社のエラい人? 政治家?
どちらにしても、某国首相のような、恵まれた環境に育った人だけの世界。
一般の生活を送る人には関係ありません。
だからこそなのか、この映画では米国の富裕層の医療事情などには触れられていません。
最高の医療を心ゆくまで受けられる人はどのような人なのか、そしてそのためにはどのくらいのお金がかかるのか、その辺はぜひとも知りたかったところです。
誰もが安心して医療を受けられないのはなぜ?
我が国・アメリカが、先進国で唯一“国民皆保険”の制度がないのはなぜ?
フランスなんて、医療制度だけじゃなく、社会制度までこんなに充実しているよ!
アメリカ人はフランスの場所すら知らない人が多いけど、もっと世界を見て、現実を知ろうよ!!
新しいアメリカを作ろうよ!!!
マイケル・ムーアのメッセージからは、アメリカに対する強い愛が伝わってきます。
アメリカが大好きだからこそ、「こんなアメリカにしたのは誰だ!」という強い怒りを抱き、『ボウリング・フォー・コロンバイン』、『華氏911』などの映画を作らずにいられなかったのでしょう。
アホでマヌケなアメリカ白人たちに、真実を伝え、目を覚まさせるために…。
資本主義経済に切り込んだという新作『キャピタリズム~マネーは踊る~』では、どんな現実を我々に突きつけてくれるのか…、ちょっと楽しみです。
あ、そして忘れずに健康保険払い込みに行かなきゃね…。
病院もずっと行ってないから、せっかくだし歯医者くらい行っとこうかな。。。
『シッコ』(123分/アメリカ/2007年)
原題:SICKO
公開:2006年8月25日
製作・監督・脚本・出演:マイケル・ムーア
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