【映画レビュー】レア・エクスポーツ~囚われのサンタクロース~ / RARE EXPORTS
フィンランドとロシアの国境にある山奥に眠るサンタクロースをめぐる映画『レア・エクスポーツ~囚われのサンタクロース~』。
これ、なんとも不思議な味わいの、シュールなファンタジー・ムービー。
かなり素敵です。
出てくる子どもたちが可愛らしさのかけらもなかったり、出てくるおじさんたちがみんなイカツくて仏頂面なところもポイント高し。
キラキラキャッキャなクリスマス・ムービーに飽きた方は、ぜひこの作品を観てみて下さい!
STORY
フィンランドの山奥にある村で、トナカイの解体業をしている父親と二人で暮らしている少年・ピエタリ。彼は昔の本を読み、サンタクロースが本当は恐ろしい怪物のような姿で、子どもたちを襲っていたことを知る。その頃、彼の家の近くの山の中では、何かの発掘業が行われていた。現場をのぞきに行ったピエタリは、彼らがサンタクロースを掘り返そうとしていることに気付く。やがて、森の中で何かに殺されたトナカイが大量に発見され…。
解説
2010年シッチェス・カタロニア国際映画祭にて最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀撮影賞を受賞したほか、その他の国際映画祭でも賞を受賞したこの作品。
一般的に「子どもたちを祝福する赤い服に白いヒゲのやさしいおじいさん」というイメージのサンタクロースの、もともとの姿を我々に教えてくれます。
この作品のサンタクロースの正体は、ロシアの山奥に眠っている恐ろしい悪魔“クランプス”。
聖ニコラウスの付き添いで、悪い子へのおしおきをする赤い悪魔なのです。
先の尖った長い舌にヒヅメ、ヤギを思わせる丸まった角を持ち、子どもたちを棒で叩いたり、鎖でしばったり、小枝で編んだ籠に投げ入れたりするのです。
しかし、一般にこんなサンタクロースの正体は知られていません。
それ故に、いわゆる“サンタクロース”が山奥に眠っていることを突き止めた多国籍企業が、サンタクロースを掘り出そうとするのです。
しかし、本を読んでサンタクロースの正体が恐ろしいクランプスであったことを知った少年・ピエタリだけが、「恐ろしい化け物」が掘り出されることに気付きます。
でも、ピエタリの忠告に誰もが耳を貸さず、恐ろしいクランプスが村にやって来てしまうのです。。。
この作品は、言わば「子どもが村のために一人で奮闘する」パターンの映画です。
村の子どもたちがみんないなくなり、やっとその危機を知ったオトナたちが、少年・ピエタリに協力してくれるようになり、ピエタリはイカツいおじさんたちを指揮して、クランプス退治に向かうのです。
この作品の魅力は、その登場人物たちのルックスにもあります。
主人公は、あまり可愛くない、そこらにいそうな少年。
近所のおじさんたちも、いかつく、顔も恐ろしく、不機嫌そうな仏頂面。
そして、サンタクロースの赤い服を着た裸のおじいさんも、やせこけ、表情は鋭く、機嫌も悪そうです。
そんな登場人物たちが、寒~い雪の降る中で、サンタクロースから村を守り、村の収入源を確保しようと知恵を絞るのですが…。
タイトルから伺える、そのオチもかなり秀逸。
私は最初、「Xスポーツの映画なのかな?」と思って観に行ったのですが、ちょっと違いました。
“RARE EXPORTS”とは、果たしてなんのことなのか…。
そのあたりを推理しながら、楽しみに観て下さい。
作品情報
『レア・エクスポーツ~囚われのサンタクロース~』(80分/フィンランド/2010年)
原題:RARE EXPORTS
公開:2011年10月8日
配給:アース・スター エンターテイメント
劇場:ヒューマントラストシネマ渋谷にて
監督・脚本:ヤルマリ・ヘランダー
出演:オンニ・トンミラ/ヨルマ・トンミラ/イルマリ・ヤルヴェンパー/ペートル・ヤコビ
公式HP:http://www.rareexports.jp/
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