アンフェア the end

2015/9/8 日本映画あ行, 映画レビュー

2006年にドラマとして始まった「アンフェア」シリーズの映画化第三作目にして最終作となる『アンフェア the end』。

篠原涼子演じる警視庁捜査一課の一匹狼刑事・雪平夏見が、警察組織の暗部に立ち向かうこのシリーズですが、いよいよ最後ということで、過去の映像がふんだんにさしこまれています。

三浦春馬、瑛太、西島秀俊、江口洋介、椎名桔平、香川照之、山田孝之ら、人気と実力を兼ね備えたそうそうたる俳優たちが登場していたこのシリーズ、考えてみれば、やはり製作陣に愛されたシリーズなのですね。

それにしても、2006年から老化や劣化を感じさせない篠原涼子、本当にすごい。。。
雪平の娘・美央を演じる向井地美音ちゃんはあんなに大きくなり、AKB48のメンバーに入ってしまうくらいまで成長しているのに、篠原涼子の外見は、まったく時の流れを感じさせません。
とくに、映画の冒頭に登場する一糸まとわぬあのシャワーシーン。
ムダに美人。ムダにナイスバディです。
あんな美人に「バカか、お前は」と言われたい男性、きっと多いのでしょうね。。。

あのラストのシャワーシーン、『アンフェア the end』というタイトルを考えると、きっとそういう意味なのでしょうね。
余計な説明を省き、暗示で終わらせるというこの終わり方、謎が謎を呼ぶこのシリーズにぴったりだと思います。
（いざとなったら、続編もできるしね。。。）

＜STORY＞
検事の村上克明、そして村上の父で元検事総長の村上成明が殺害された。村上親子殺害の容疑者・津島直紀は、雪平に「自分は警察、検察が関わる組織の悪を告発しようとしていたためはめられた」と主張。津島の証言に信憑性を感じた雪平は、彼を逃がし、彼に協力するのだった。そんな雪平の前に、かつての上司で恋人でもあったが雪平を裏切った男・一条道孝が現れる。さらに、最高検察庁監察指導部の検察官・武部将臣も闇の組織について調査しようとしていた。

＜解説＞
『アンフェア the movie』、『アンフェア the answer』に続く、「アンフェア」シリーズ最終作、『アンフェア the end』。
本作は、“the end”と銘打つだけあり、ドラマシリーズ、過去の映画二作からの謎を引き継ぎつつ、雪平がそれらの謎に決着をつけていく物語となっています。

本作の注目点は、なんといっても主人公の雪平夏見が弱さを見せるところ。
これまでは何があっても無表情で強さを失わなかった雪平が、涙まで見せてしまうのです。

これは、最後の最後に、父親の死の謎を知り、彼女を支えていた最後の何かが崩れたということなのでしょうか。
もしくは、かつてのバディ・安藤（瑛太）を彷彿とさせる男・津島（永山絢斗）と出会い、彼女の中の何かが変化したということなのか。
もしくは、その両方なのかもしれません。

それにしても、この津島の役を瑛太の実弟である永山絢斗に演じさせるというのは、なんとも裏読みをさせるキャスティング。
これこそ、“世の中にはフェアなことなど何もない”という、この「アンフェア」シリーズにぴったりのキャスティングなのかもしれません。
あの名セリフの応酬なんて、本当にずるいですね。

ドラマ版から脚本を担当してきた佐藤嗣麻子監督がニヤリとする様子が、目に浮かぶようです。

『アンフェア the end』（108分／日本／2015年）
公開：2015年09月05日
配給：東宝
劇場：全国にて
原作：秦建日子
監督・脚本：佐藤嗣麻子
出演：篠原涼子／永山絢斗／阿部サダヲ／加藤雅也／向井地美音／吉田鋼太郎／AKIRA／寺島進／佐藤浩市
Official Website：http://unfair-the-end.jp/