【映画レビュー】大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇
竹野内豊と水川あさみが、長い同棲を経て、なし崩し的に結婚してしまった新婚カップルを演じたコメディ映画『大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇』。
あんまりコメディのイメージが亡い竹野内豊ですが、テンション低めの脱力系演技が、妙にこの映画の世界観にハマっています。
なぜか“地獄”に新婚旅行に行くことになるカップルの珍道中なのですが、不思議でゆる~い地獄の描写や、地獄にいる赤い人や青い人たちの変な習性などが、じわじわ面白い感じ。
大笑いしたい人には満足できないかもしれませんが、不条理系のお笑いが好きな人にはきっと楽しめると思います。
STORY
大木信義と咲は長い同棲の後、なし崩し的に結婚したカップル。結婚を機に引っ越しをしたのだが、引っ越し後の荷物から炊飯ジャーがなくなっていた。近所のスーパーに買い物に行った咲は、濡れた男が炊飯ジャーを持っているのを見かける。男を追って行った後、咲は妙な占い師から地獄旅行のツアーに勧誘された。そして信義と咲は、地獄旅行に新婚旅行に出かけることに。スーパーの屋上にある水槽から、地獄へ出かけて行くのだが…。
解説
劇団「五反田団」の前田司郎の原作を、本田隆一監督が映画化した本作。
本作を観て思ったのは「なるほど、そういえば東京の劇団っぽい」という感想。
大阪の劇団的なハイテンションな活劇からエモーショナルな感動シーンへ一気呵成に持って行くストーリーテリングとは違い、ゆるーく、ちょっと斜に構えたシニカルなストーリーでありながら、最後にさりげなく感動させるという感じ。
単純に言うと、新婚でありながらも倦怠期のような雰囲気で「この結婚は正しかったのか」と迷っているカップルが、未知の世界で様々な試練と遭遇し、絆を取り戻して行くというストーリーなのですが、ちょっとヒネリをきかせてあります。
謎の占い師とその助手、地獄に住む“赤い人”、“青い人”、“濡れた男”なども、すべてはっきりと説明せず、あいまいなままで夢かうつつかわからない謎として残しているのです。
この「ありえない」ストーリーをなんとなく受け入れさせてくれるのは、竹野内豊ののほほんとした雰囲気が大きいかも。
この人、変にカッコつけたクールな男性役よりも、ぬぼーっとした役の方が似合うのですね。
個人的には、“赤い人”を演じたでんでんさんも良かったなあ。
真っ赤な顔で、走り、飛び、叫ぶでんでん。ポージングも決まってました。
映画『告白』の美少女、橋本愛ちゃんも、美少女ぶりを封印して真っ青な顔で登場しています。
それはそれで、マニアには受けるかも。
そういえば、本作の監督、本田隆一は、私と同い年で出身校が同じなようです。
多分、学科は違うと思うのですが、彼もあの坂を毎日上っていたのかと思うと、ちょっと感慨深いわー。。。
私もがんばらねば。
作品情報
『大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇』(121分/日本/2011年)
公開:2011年5月14日
配給:ギャガ
劇場:新宿バルト9ほか全国にて
原作・脚本:前田司郎
監督:本田隆一
出演:竹野内豊/水川あさみ/樹木希林/片桐はいり/荒川良々/橋本愛/でんでん/山里亮太/柄本明/村松利史
公式HP:http://ookike.gaga.ne.jp/
関連商品
売り上げランキング: 9833
売り上げランキング: 2863
幻冬舎
売り上げランキング: 48737
講談社
売り上げランキング: 100267
売り上げランキング: 679
売り上げランキング: 33041