【映画レビュー】ルパン三世

幼い頃から大好きだったアニメ「ルパン三世」。
私の育った地方では、再放送で毎日夕方に放映していたので、毎日学校から帰っては、あのクールなオープニング曲に心躍らせながら「th」の発音を練習し、アダルトなクロージング曲で「ワルサーP38」と言った銃の名前を覚え、ルパンと不二子のオトナの掛け合いに憧れたものでした。

私達の世代にとってはそんな伝説的な作品で、オープニング曲もみんな大好き。
クラブやライブなどでもこの曲がかかると未だに大盛り上がりするものです。

そんな伝説的な作品が、小栗旬主演、北村龍平監督で映画化されたのが、本作『ルパン三世』です。

個人的に思うことはいろいろあるのですが、一番残念なのはここですね。
なぜあのテーマ曲をチラリとでも使わなかったのか…。
全面に使わなくても、ちょっとでもアレンジの中にあのメロディが使われていれば、それだけでもみんな喜んだはずなのにな…。

世界的に名を馳せた大泥棒たちが所属する大窃盗団“ザ・ワークス”のメンバーが集まる場で、リーダーのドーソンが殺され、究極の秘宝“クリムゾン・ハート”が盗まれてしまう。次期リーダーとなるはずだったルパン三世は、ドーソンを殺したマイケル・リーを追い、“クリムゾン・ハート”の奪還を誓う。ルパンは次元大介、峰不二子、石川五エ門と共に、難攻不落の要塞型セキュリティシステム「方舟」に挑む。そんな彼らをインターポールの銭形警部が追っていた…。

1967年に「週刊漫画アクション」に連載が開始されたモンキー・パンチの人気漫画「ルパン三世」。
1971年にアニメ放映が開始され、映画化もされた作品です。

フランスの怪盗アルセーヌ・ルパンの孫にして、現代に活躍する怪盗ルパン三世。
S＆W M19コンバットマグナムを愛用し、どんな狙いも外さない名ガンマンの次元大介。
安土桃山時代の大泥棒・石川五衛門の子孫にして斬鉄剣の名手、石川五ェ門。
そして、その美貌とナイスバディで男たちを魅了する、稀代の悪女・峰不二子。
さらに、そのルパン一味を追う“銭形のとっつぁん”ことインターポールの警部・銭形幸一。

このおなじみのメンバーを、それぞれ小栗旬（ルパン三世）、玉山鉄二（次元大介）、綾野剛（石川五ェ門）、黒木メイサ（峰不二子）、浅野忠信（銭形警部）が演じています。

役者陣は、この超有名キャラクターたちの魅力を取り込みつつ、独自の魅力を出せるよう、かなり頑張っていたと思います。

ただまあ、世界的な大泥棒たちの物語にしては、なんだか安っぽい感は否めないかも…。
ジェリー・イェン（台湾）、キム・ジュン（韓国）と言ったアジア圏の俳優を起用し、タイを舞台にするなど、アジア圏での配給を見越した物語のつくりは、世界戦略としては成功なのでしょうが、日本市場ではビミョウなラインのように思います。

まあ、私が見たのは日本語吹替え版だったので、かなり不自然さが目立っただけなのかもしれません。
英語版を見ると、もっと普通なのかしら？

カットバックの多いカット割とか、凝ったカメラワークとか、こだわりはうかがえるのですが、どこか的外れというか、落ち着かない印象を受けました。
カーチェイスのシーンも、なんだかテンポが良くない気もするし…。これは編集がイマイチなのかな。

気合いが入っているのはわかるし、俳優陣を始め、スタッフ陣がみんな頑張っているのはわかるのだけれど、伝説的題材を前にして、その気合いが空回りしてしまっているような、もったいない作品でした。
でもまあ、どう作っても絶対にファンからあれこれ言われるであろう「ルパン三世」に果敢に挑んだ、そのチャレンジは素晴らしいと思います。