インターステラー / Interstellar

インターステラー (竹書房文庫)

クリストファー・ノーランが製作・監督・脚本を務めた映画『インターステラー』

製作総指揮にも名を連ねる理論物理学者のキップ・ソーンの著書「ブラックホールと時空の歪み アインシュタインのとんでもない遺産」(原題:Black Holes and Time Warps: Einstein’s Outrageous Legacy)が発想の原点ということもあり、いろいろと難しい理論なども出てきますが、最後に私の心に残ったものは“愛”の重さ。
すべては、愛の映画なのです。
どんなにひねくれたり、どんなに信じられなくなったり、どんなに紆余曲折を経たとしても、結局最後に残るのは、愛…。

『ダークナイト ライジング』の時も思ったけれど、クリストファー・ノーランはやっぱり“人間”や“愛”を信じている人なんだなあ。
169分という長尺の映画ですが、あの手この手でまったく飽きることがないこの作品。
ノーランの作家性、エンターテインメント性、革新性、様々なものを内包しつつ、もっとも普遍的なテーマを描いた、素晴らしい作品だと思います。

<STORY>

ポスター アクリルフォトスタンド入り A4 パターンF インターステラー 光沢プリント

近未来、環境の変化、食糧難などで、人類は存続の危機を迎えていた。元テスト・パイロットでエンジニアのクーパーは、ブランド教授にあるプロジェクトに誘われ、幼い娘マーフ、多感な年齢の息子トムらを地球に残し、人類が移住できる環境を探すため、ブランド教授の娘・アメリアらと共に宇宙に旅立つ。ワームホールを利用して宇宙空間をワープした彼らは、やがてある惑星にたどり着くが、そこは時間の進み方が地球とまったく違う場所だった…。

<Cheeseの解説>

ポスター A4 パターンB インターステラー 光沢プリント

この映画の舞台は、近未来の地球。
環境の変化により、食糧難に陥り、地球では暮らしていくのが難しくなっています。

マシュー・マコノヒー演じるクーパーは、麦を作っている農夫ですが、元テスト・パイロット。
妻を亡くし、息子のトム、幼い娘のマーフ、義父と三人で暮らしています。
子どもたちを愛するクーパーですが、特に賢い7歳のマーフと深い結びつきを感じています。

そんな中で、子どもたちの将来を守るためにクーパーは地球を立ち、人類が移住可能な星を探しにいくのです。
“何か”が部屋にいると感じているマーフの「地球に残って欲しい」という懇願を無視し、トムに「マーフを守れ」と言い残し、クーパーは旅立ちます。

クーパーと共に宇宙に旅立ったのは、アン・ハサウェイ演じるアメリア・ブランド。
人類を違う星に移住させる計画を立てたブラント教授の娘で、計画のほぼすべてを知る人物です。

本作『インターステラー』には、ふたつの父と娘の物語が出てきます。
ひとつはクーパーと娘・マーフの物語。
娘を愛するがゆえに娘をおいて宇宙に旅立つ父と、信じていたパパに捨てられたと思いながら成長しやがて父の本心を知ることになる娘。

もうひとつは、アメリア・ブラントとマイケル・ケイン演じるブラント教授の物語です。
もう父とは再会できないことを知りつつ、宇宙で待つ愛する人と人類のために宇宙に旅立つ娘と、自分の研究のすべてを娘に託そうとする父。

父と娘の“愛”は、基本的に肯定的に描かれているのです。

それに引き換え、クーパーと息子・トムの愛はちょっと複雑なのが面白いところ。
父に認められようと、妹を守り、新たな家庭を作り必死に生きてきた息子・トムは、宇宙に行ったきり何の音沙汰もなく戻らない父を、心の中で殺してしまいます。

これもエディプス・コンプレックスの一環なのでしょうか…。
クリストファー・ノーランの“親子観”が現れているようで、なかなか興味深いところです。

本作『インターステラー』について、ここまで“愛”のことしか語っていませんが、SF映画としてもとても素晴らしいものだと思います。
ワームホールを利用して宇宙を旅する様、彼らがたどり着く星の描写、時空の歪みによる彼らに起こる現象など、実際の理論を下敷きに、各クリエイターたちのクリエイティビティが最高レベルに発揮されたものばかり。
私は『インセプション』を観た後のような、不思議な感慨を覚えました。

最高レベルのVFXと何人ものオスカー俳優を使って、普遍的な物語を今までにない形で見せてくれるクリストファー・ノーラン監督、彼と同時代に生きて、リアルタイムでその作品を観ることができるというのは、本当に幸せなことだと思います。

『インターステラー』(169分/アメリカ/2014年)
原題:Interstellar
公開:2014年11月22日
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場:新宿ピカデリーほか全国にて
製作総指揮:ジェイク・マイヤーズ/ジョーダン・ゴールドバーグ/キップ・ソーン
製作・監督・脚本:クリストファー・ノーラン
脚本:ジョナサン・ノーラン
音楽:ハンス・ジマー
出演:マシュー・マコノヒーアン・ハサウェイジェシカ・チャステインマイケル・ケインマット・デイモンジョン・リスゴーケイシー・アフレックデヴィッド・ジャーシーウェス・ベントリーマッケンジー・フォイエレン・バースティン/ティモシー・シャラメ/リーア・ケアンズ/トファー・グレイスデヴィッド・オイェロウォ
声の出演:ビル・アーウィン/ジョシュ・スチュワート
公式HP:http://wwws.warnerbros.co.jp/interstellar/

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