チェイス！／ Dhoom 3

2014/11/16 外国映画た行, 映画レビュー

インドの大スター、アーミル・カーンがアメリカはシカゴを舞台に大活躍するクライム・アクション・ムービー『チェイス！』。

一見ハリウッドのアクション映画的な展開に思わせつつも、そこはしっかりボリウッド・ムービー。
歌あり踊りあり、シルク・ドゥ・ソレイユ的なイリュージョン的パフォーマンスありと、目にも楽しいストーリーとなっています。
ストーリーも、ただの警察と泥棒のチェイスが行われるというだけではなく、家族の愛と憎しみ、断とうとしても断ち切れない深い“絆”を描いた、インド的な因縁話だったりも…。

インド映画史上最大の30億円の製作費をかけ、47億円という歴代1位の興行収入を記録し、インド以外の国々でもインド映画の興行成績第一位を記録したという本作。
インド映画とハリウッド系アクション映画が見事に融合したハイブリッド・エンターテインメント・ムービー作品です。

＜STORY＞
1990年、シカゴ。大インドサーカスを運営している父イクバールが、幼い息子・サーヒルの目の前で自殺する。原因はシカゴ・ウエスタン銀行の融資引き上げにより、サーカス団の経営が破綻したためだった。20数年後、サーヒルはシカゴ・ウエスタン銀行を次々と襲い、警察と派手なチェイスを繰り広げていた。犯人はインド系だと判断したシカゴ警察は、インドの名刑事、ジャイとアリを呼び寄せる。サーヒルはサーカスを再興させつつ、新たな犯行に乗り出していた…。

＜Cheeseの解説＞
この作品、実は「Dhoom」シリーズというバイクチェイスが売りのインドの人気アクションシリーズの第三作目。
刑事・ジャイ役のアビシェーク・バッチャンが通して出演しています。
実は、インド映画ではそれまでシリーズ作品というものはなかったそうで、この「Dhoom」シリーズというのは、インド映画におけるエポックメイキングな作品なのですね。

この作品に新たに参加したのが『きっと、うまくいく』などでもおなじみの、インドの人気スター、アーミル・カーン。
途中参加であるにも関わらず、まるで自分がずーっと主演してきたシリーズであるかのように、最初から最後までドヤ顔で、大活躍しています。

最初のエピソードの終了後、「ミッション・インポッシブル」シリーズを彷彿とさせるアクションシーン、さらに『Mi:III』っぽいタイトルロゴがドーン!!
舞台がシカゴと言うこともあり、「ミッション・インポッシブル」シリーズや「007」シリーズを意識したような、ハリウッドのアクション大作っぽい展開でストーリーが進みます。

しかし、そこで油断は禁物。
ヴィジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ監督は、ボリウッド・ムービーの象徴とも言える群舞シーンを遠慮なくぶっ込んでくるわけです。
でも、この群舞がただものではなく。
いわゆる“ザ・ボリウッド”的な群舞ではなく、世界的タップ集団「TAP DOGS」が振り付けをする集団タップダンスになっていて、かなり見応えたっぷりのダンスシーンになっています。

他にも、ヒロインを演じるカトリーナ・カイフのセクシーダンスや、華やかなイリュージョンなど、これまでのインド映画の枠を飛び越えたようなダンスシーンを見せてくれます。

この映画『チェイス！』は、ボリウッド・ムービーの魂を世界へ向けてインターナショナルなフォーマットで描いた新機軸のインド映画と言えるでしょう。
これまでのドメスティックなインド映画とはまた違う、インド映画の概念を覆すようなインド映画なのです。
ボリウッド・ムービーが好きな人はもちろん、あのノリがちょっと苦手だと言う人にも、ぜひ観て欲しい、娯楽要素たっぷりのクライム・アクション・ムービーです。

『チェイス！』（151分／インド／2013年）
原題：Dhoom 3
公開：2014年12月5日
配給：日活、東宝東和
劇場：全国にて
監督・脚本：ヴィジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ
出演：アーミル・カーン／カトリーナ・カイフ／アビシェーク・バッチャン／ウダイ・チョープラー
公式HP：http://chase-movie.jp/