【映画レビュー】インモータルズ－神々の戦い－／ Immortals

2011/10/15 外国映画あ行, 映画レビュー

「ミッキー・ローク…、アンタやっぱりヨゴレだよ…。いや、最高のヨゴレだよ！」と、ミッキー・ロークの悪い魅力を堪能できる映画『インモータルズ－神々の戦い－』。
全体的に出演俳優陣が小ぶりなぶん、ミッキー・ロークの重量感がかなり目立っています。

とはいえ、彼は決して主役ではなく、人類の頂点に立ちたいという野望を抱く敵役。

主人公は、ヘンリー・カヴィル演じる、ゼウスに愛された人間・テセウス。
オリンポスの神々の手助けを受けながら、強大な敵に挑む人間の姿を描いているのです。
まあ、おいしいところはオリンポスのヤツらが持っていったりするんだけどね。。。

＜STORY＞
かつて、オリンポスの神々は邪悪なタイタン族をタルタロス山の地底深くに閉じ込めた。やがて時は過ぎ、地上には人間たちの王国が築かれていった。だが、イラクリオン国王のハイペリオンが、地上を支配するという野望を持ち、タイタン族を解放しようと画策。ハイペリオンに狙われた巫女・パイドラは人間・テセウスと出会い、彼と共に神の武器・エピロスの弓を手に入れようとする。テセウスは、神・ゼウスに見込まれた人間だった…。

＜解説＞
『ザ・セル』、『ザ・フォール／落下の王国』を手がけた映像派のターセム・シン監督が、『300＜スリーハンドレッド＞』のプロデューサーたちと組んで製作した本作。
ギリシャ神話をベースに、神々の世界を圧倒的な映像美で描き出します。

とは言っても、作品の大部分を占めるのは、イラクリオン国王のハイペリオンと、ゼウスに見込まれた人間・テセウスたちが繰り広げるドラマ。
この人間パートに関しては、凝った映像ではあるけれど、それほど“映像美!!”という感じではありません。
まあ、ハイペリオンが見せる残虐描写は凄まじく、ミッキー・ロークが楽しそうに大暴れしている姿も、見応えはたっぷりなのですが。

凄まじいのは、やはりオリンポスの神々たちが登場するシーン。
人間離れした均整のとれた肉体を持つ美神たちが、黄金の衣装や黄金の甲冑を身にまとい、変なポージングで人間の営みを見つめています。
彼らの、人類ではどうやっても勝てないような天地を鳴動させるパワーや、超ハイスピードな戦いぶりなども、思わず笑ってしまうほどの凄まじさ。
この映像を見られるだけでも、映画館に足を運ぶ価値はあると言えましょう。

それにしても、ギリシャ神話をベースにしている本作、『インモータルズ－神々の戦い－』というタイトルですが、神々の戦いはなかなか始まりません。
オリンポスの神々は、基本的に人間同士の争いや営みを、信じて見ているだけ。
人間たちの“不幸”や“死”に関しても、彼らにとってそれは“人類の意志”でしかないのです。

彼らは地上に降臨するのは、人類が闇の神を呼び起こし、ことが“神々の領域”に入った時。
“人間が引き起こした危機”では、神はギリシャを助けませんでした。

現在のギリシャ危機や世界経済の危機も、人類が解決するしかない事態だということを示唆しているのですかね。。。
まあ、ことが神々の領域に入ってしまえば、即座に彼らは立ち上がっていましたが。

さて、余談ですが、ギリシャ神話における、全能神ゼウスって、「あちこちの女性に手をつけていろんな面倒を引き起こす神さま」っていうイメージがありますよね。（私だけ？）
『三銃士王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』でプレイボーイのアラミスを演じたルーク・エヴァンスが、本作ではゼウスを演じているのですが、その微妙な身勝手なオレ様っぷりが、なかなかハマっていました。
いくら可愛い娘だからって、アテナばっかりえこひいきして、ひどいよねー。。。

『インモータルズ－神々の戦い－』（111分／アメリカ／2011年）
原題：Immortals
公開：2011年11月11日
配給：東宝東和
劇場：TOHOシネマズ日劇ほか全国にて
監督：ターセム・シン
製作総指揮：タッカー・トゥーリー／ジェフ・ワックスマン
衣装：石岡瑛子
出演：ヘンリー・カヴィル／フリーダ・ピント／ミッキー・ローク／ルーク・エヴァンス／ケラン・ラッツ／イザベル・ルーカス／スティーブン・ドーフ／ロバート・メイレット／コリー・セヴィア／スティーブン・マックハッティ／グレッグ・ブリック／ジョン・ハート／ピーター・ステッビングス／ジョセフ・モーガン／スティーヴ・バイヤーズ／アラン・ヴァン・スプラング
公式HP：http://immortals.jp