【映画レビュー】アナと雪の女王２ ／ Frozen II

アンデルセンの童話「雪の女王」を原案にした、2013年の大ヒット映画『アナと雪の女王』の長編第二弾作品『アナと雪の女王２』。
前作から3年後、アレンデールの女王となったエルサと、エルサを支える妹のアナ、この二人が王国に降りかかった試練に立ち向かい、真の女王となるまでを描いています。

前作が“真実の自分”を認めるまでの物語だとしたら、本作は“自分の運命”、そして“自分の役割”に気づきそれを受容するまでの通過儀礼の物語です。

本作『アナと雪の女王２』のストーリーラインの一つは、雪や氷を操る力を持ったエルサの“魔法の力”がなぜ与えられたのか、それを探るためのエルサとアナの旅の模様となっています。
人間たちが暮らすアレンデール国の王女であるエルサとアナの姉妹。その二人の姉妹において、なぜ姉のエルサにのみ力が与えられたのか。

物語は、姉妹の父であるアグナルがまだ少年の頃、姉妹の祖父・ルナード国王の時代に起こった出来事にまで遡ります。
すべての原因は、アレンデールと敵対していた民族・ノーサルドラとアレンデールの因縁にことを発していたのでした。

エルサとアナは不思議な声に導かれて、“魔法の森”に出向き、そこで昔に起こったアレンデールとノーサルドラの衝突を知ります。そして、そのせいで精霊たちが怒り、アレンデールの兵士たちとノーサルドラの民を魔法の森に閉じ込めてしまったということも…。

魔法の森で、エルサは精霊たちと出会いました。精霊たちは、なぜか怒っていました。風の精霊・ゲイルは
吹き荒れ、火の精霊・ブルーニは火でエルサたちを襲います。水の精霊・ノックも最初はエルサの旅を邪魔しようとします。そして、地の精霊・アースジャイアントも人間に向かって大きな岩を投げつけたり…。

やがてエルサは、すべてを知っているという不思議な伝説の川“アートハラン”へ向かいます、たった一人で。しかし、そこで祖父のルナード国王がダムを造って豊かな水を堰き止め、ノーサルドラを支配しようとしたことが原因で、精霊たちを怒らせてしまったことに気づくのです。そして、エルサはアートハランの地で、一人、凍りついてしまいます。

エルサに異変が起こったことを知ったアナは、「自分にできることをしよう」と、怒れるアースジャイアントを利用して、元凶であるダムを壊してしまいます。そのダムを壊すことで、アレンデールは大量の水に襲われ、水に飲まれてしまいそうになるのですが…。

祖父のおかした間違いが、アレンデールとノーサルドラ、そして自然の精霊たちに大きな影響を与えていることを知ったエルサとアナの姉妹は、その間違いを正すことにより、彼女たちの世界に調和を取り戻したのです。

自分が大切にしているものを犠牲にしてしまったとしても、守るべきものを守り通す。
エルサとアナは、それぞれに守るべきもののために大きな犠牲を払おうと決意し、行動します。
それこそが、二人が女王として自然や人々の上に立つための通過儀礼だったのです。

先祖が過去に遺した因果が、二人の姉妹の絆をより強くし、立派な女王たちに成長させたのでした。

「レット・イット・ゴー」とはまた違う強さを秘めた主題歌の「イントゥ・ジ・アンノウン～心のままに」も心に残る、家族の因果と姉妹愛の物語、それが本作『アナと雪の女王２』だと言えるでしょう。