【映画レビュー】アナと雪の女王 / Frozen
主人公の一人である雪の女王・エルサが歌う「Let it go」のメロディとその歌詞、そしてその映像の美しさに思わず涙が出てしまった映画『アナと雪の女王』。
人と違う能力を持ってしまったが故に自分の殻に閉じこもっていたエルサが、人に遠慮せず初めて自分の能力を自由に発揮できる歓びや自分の能力に対する自信を見せつつも、広い世界に自分の足だけで立つというちょっとの不安と自負を見事に表現したその映像とその歌声は、何度見ても心が熱くなります(割とマジで)。
英語版のイディナ・メンゼルの歌声ももちろん素晴らしいですが、日本語吹替え版の松たか子の歌声も、本当に素晴らしいのですよ。。。
ディズニーアニメ初の女性監督であるジェニファー・リーが手がけたこの作品、ディズニーのプリンセスアニメとしては異色づくめ。
わかりやすいヴィランはいないし、主人公は二人いるし、何よりもプリンスが全然プリンスじゃない。
でも、その異色さこそが、現代人の心を打つのです。
私は、松たか子、神田沙也加、ピエール瀧が声優を務める日本語吹替え版を見たのですが、この吹替えも素晴らしかったー。
2014年の暫定ベストに入れるだけでなく、オールタイムベスト10に入れてしまってもいいのではないかと思っているくらい、現在のところ大好きになってしまった映画です。
そうそう、電気グルーヴの時には滅多に聞けない、瀧のフルコーラスを聞けるのも、個人的にはとってもツボでした!
電気ファンの方には、ぜひ日本語吹替え版での鑑賞をオススメいたします。
STORY
アレンデール王国の幼い王女エルサは、雪の魔法の力で妹のアナを傷付けてしまう。アナは元気になったものの、エルサは自分の魔法の力を封印し、閉じこもってしまった。13年後、王とお妃も亡くなり、エルサが女王となることに。しかし、戴冠式でアナとケンカをしたエルサは、再び魔法を使ってしまう。怪物呼ばわりされたエルサは山に逃げ込み、その魔法でアレンデール王国を雪に閉ざしてしまった。アナは夏を取り戻すため、エルサを追って山に入るが…。
解説
ハンス・クリスチャン・アンデルセンの「雪の女王」をベースに、ディズニーが新たなプリンセス・ストーリーを作り上げました。
この作品に登場するお姫様は、エルサとアナの二人です。
生まれながらに雪や氷をあやつる魔法の力を持っているがために、妹のアナにも心を閉ざして生きてきた姉のエルサ。
エルサは自分が人と違うことにコンプレックスを感じ、本当の自分を隠しながら生きています。
そして、大好きな姉と遊べないことに淋しさを感じつつも、素直に育ってきたアナ。
彼女は、両親や姉の愛を受けることができなかったことから、人恋しさのあまり、すぐ人を信用してしまう不用心なところがある女性。
国を司る王の娘でありながら、妹だという甘えもあるのかもしれません。
このエルサとアナの姉妹は、幼い頃にエルサの魔法でアナを傷付けてしまったことから、あまり会話をしないままに成長していきます。
お互いに姉妹として愛し合いつつも、具体的にお互いを理解しあうことのないままに。
そして、エルサが女王となることになった日、久しぶりに顔を合わせます。
そこでお互いの欠点がぶつかりあってしまったことから、エルサは勢いで魔法を使ってしまい、国民から化け物扱いされてしまいます。
やがて城から逃げ出したエルサは、国を雪と氷に閉ざし、山奥の雪の城に閉じこもってしまうのです。
アナは、そんなエルサを連れ戻し、国に夏を取り戻すため、氷売りのクリストフと雪だるまのオルフをパートナーに、氷の城に乗り込もうとするのですが…。
この『アナと雪の女王』には、明確なヴィランは存在しません。
強いて言うならば、心を閉ざし、王国を雪と凍りに閉ざしてしまったエルサが、ヴィランに相当します。
しかし、エルサはアナが自分に抱いている愛に気付き、内なる荒ぶる自分をコントロールできるようになるのです。
そうして自らをコントロールできるようになったエルサは、ただの雪の女王ではなく、真の“女王”に成長することができたのだと思います。
この物語のキモは、エルサとアナの“姉妹愛”であり“家族愛”。
家族だからこそ、お互いの欠点も目に付き、国を滅ぼすんじゃないかと思うくらいの大げんかをしてしまうものの、家族だからこそ、何があっても愛し合い、許し合える…。
そして、王子様に幸せにしてもらうのではなく、自らの能力や、自らが勝ち取ったもので幸せを掴んでいくのです。
女性が女性だけで道を切り拓き、幸せを掴んで行く姿を描くこの物語、まさにエポックメイキングな一作と言えるでしょう。
エルサとアナは、『プリンセスと魔法のキス』のティアナ、『塔の上のラプンツェル』のラプンツェルに続く、新時代のプリンセスにふさわしい存在だと思います。
関連作レビュー
アナと雪の女王2:http://c-movie.jp/review/frozen2/
作品情報
『アナと雪の女王』(102分/アメリカ/2013年)
原題:Frozen
公開:2014年3月14日
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
劇場:全国にて
原作:ハンス・クリスチャン・アンデルセン
製作:ジョン・ラセター/ピーター・デル・ヴェッコ
楽曲:クリステン・アンダーソン=ロペス/ロバート・ロペス
監督:クリス・バック/ジェニファー・リー
音楽:クリストフ・ベック
ビジュアルデベロップメントアーティスト:ジン・キム
声の出演:クリステン・ベル/イディナ・メンゼル/ジョナサン・グロフ/ジョシュ・ギャッド/サンティノ・フォンタナ/アラン・テュディック/キーラン・ハインズ/クリス・ウィリアムズ/マイア・ウィルソン/モーリス・ラマルシェ/ステファン・アンダーソン/エディ・マッククラーグ/エヴァ・べラ
声の出演(日本語吹替え版):松たか子/神田沙也加/原慎一郎/ピエール瀧/津田英佑/多田野曜平/安崎求/朝倉栄介/高乃麗/根本泰彦/大川透/堀越真己/諸星すみれ
公式HP:http://www.disney.co.jp/movies/anayuki/
関連商品
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 (2019-07-24T00:00:01Z)
¥2,216 (中古品)
WALT DISNEY RECORDS (2014-03-12)
売り上げランキング: 204
Walt Disney Records (2013-11-25)
売り上げランキング: 76
Disney Music
売り上げランキング: 150,437
竹書房
売り上げランキング: 9,708
売り上げランキング: 3,059
売り上げランキング: 46,387