園子温監督『ひそひそ星』 トロント映画祭 NETPAC審査員賞 受賞!

トロント国際映画祭から、うれしいニュースが届きました。
第40回トロント国際映画祭 Contemporary World Cinema部門に正式出品された、園子温監督の映画『ひそひそ星』がNETPAC審査員賞を受賞したことが発表されました。

この賞は、NETPAC(正式名称 Network for the Promotion of Asian Cinema)の審査員により選ばれる賞。NETPAC とは、1990年にアジア各国の良質な作品や優秀な若き映画製作者を世界に広めるために設立された国際団体で、NETPAC賞は、最優秀アジア映画賞として世界の30以上もの映画祭に設けられています。

園監督は、2012年に同映画祭に出品された『希望の国』に続いてこの賞2度目の受賞。
さらに、同映画祭全体では2013年にMIDNIGHT MADNESS部門で観客賞を獲得した『地獄でなぜ悪い』に続いて3度目の受賞となります。
現地時間15日夜に行われたワールドプレミアには園監督と主演を務める神楽坂恵が登壇し、夜遅い時間だったにも関わらず客席450席はほぼ満席の大盛況。上映後の深夜行われた舞台挨拶までほとんどの人が残り、園監督と神楽坂の人気の高さを証明しました。

園監督コメント
「トロントの観客の皆さんの反応は凄く良くて、作品がきちんと理解されたと思いました。自分の信じた映画が、カナダ最大の映画祭で評価されて素直に嬉しいです。」

神楽坂恵コメント
「観客の皆さんがとてもこの作品をよく理解していただいていることが、上映後の質疑応答でわかり、涙が出ました。女優としてだけではなく、スタッフとしても携わった作品なので、受賞の知らせを聞いて、とても嬉しいです。」

この映画『ひそひそ星』2014年に園子温自ら設立したシオンプロダクションでの第一作目作品。
園監督が1990年に書いた脚本と絵コンテを元に制作されており、構想25年を経て実現したモノクロームのSF作品です。

<はじめに>
 風化しかけた記憶に対しての小さな詩を作りたい。
そして今日も常に死と隣り合わせに生きる全ての人間に対しての祈りの映画にしようと思っている。舞台は遠い未来。度重なる事故や災害、戦争などによって人口が極端に減ってしまったころ。
人工知能ロボットがおびただしく増えて、人間は宇宙のあちこちに追い立てられ、ほそぼそと生きている。居場所を追われたり、家を失ったりした、わずかな地球人は、常に思い出を頼りに生きている。そんな彼らのために「記憶の宅配便」が宇宙を運行している。従業員は皆ロボットだ。
 長い宇宙の旅の間、年もとらないロボットが遠く離れた星から星へと、人間たちの配達物を運び、届けていくという物語。
 見た目はたいした配達物ではない。「一枚の写真」「誰かの乳歯」「よくわからない手書きの似顔絵」など、どこが 大事なのか他人にはわからないものばかりだ。ロボットは理解できないが、淡々と仕事をこなしていく。一枚の色あせた写真を届けるために数年を費やし、遠い星に着くと、宛名の人の手元に届ける。
 これは記憶に関する映画だ。三月十一日のあの日から今に至るわれわれの記憶と、はるか昔からの遠い人間の記憶を重ねるファンタジーを届けたい。

            監督・脚本・プロデュース  園 子温

<ストーリー>
人類はあれから何度となく大きな災害と大きな失敗を繰り返した。その度に人は減っていった。宇宙は今、静かな平和に包まれている。機械が宇宙を支配し、人工知能を持ったロボットが全体の8割、人間は2割になっている。すでに宇宙全体で人間は、滅びていく絶滅種と認定されている。科学のほとんどは完結しているが、人間は昔と同様、百年生きるのがせいぜいだ。人間の人口は、宇宙の中でしだいに消え入るローソクの火のようだ。
 アンドロイドの鈴木洋子 マシンナンバー722 は、昭和レトロな内装の宇宙船レンタルナンバーZに乗り込み、相棒のコンピューターきかい6・7・マーMと共に、星々を巡り人間の荷物を届ける宇宙宅配便の配達員をしている。宇宙船での旅はたいくつ極まりない。しかし、マシンである洋子は退屈を感じないし、まめに船内を掃除したり、旅を記録したり、相棒のきかい6・7マーMの故障を修理したりで長い宇宙時間をマシンらしく過ごしている。
 人間に届ける荷物は、帽子だったり、えんぴつや、洋服だったりとさほど重要に見えるものはない。配達には何年もの年月がかかるのだが、マシンである洋子には、なぜ人間が物体をどんな距離にでも瞬時に移動できるテレポーテーションがある時代に、数年もの時間をかけて物を届けるのか理解ができない。洋子は“距離と時間に対する憧れは、人間にとって心臓のときめきのようなものだろう“と、推測している。
 洋子は様々な星、ウルツ星やパラスゼロ星に降り立ち、かつて人々でにぎわった街や海辺に荷物をとどけていく。荷物を受け取る人々の反応は様々だが、誰もがとても大切そうに、荷物をひきとっていく。30デシベル以上の音をたてると人間が死ぬおそれがあるという“ひそひそ星”では、人間は影絵のような存在だ。洋子は注意深く音をたてないように、ある女性に配達をする。すると・・・。

『ひそひそ星』 作品情報
英題:The Whispering Star
監督:園子温
脚本(オリジナル):園子温  
プロデュース:園子温
プロデューサー:鈴木剛/園いづみ
企画・制作:シオンプロダクション
出演:神楽坂恵遠藤賢司/池田優斗/森康子/福島県双葉郡浪江町の皆様/福島県双葉郡富岡町の皆様/福島県南相馬市の皆様
撮影:山本英夫 『妖怪大戦争』『地獄でなぜ悪い』
照明:小野晃 『バトルロワイヤル』『地獄でなぜ悪い』
録音:永口靖 『捨てがたき人々』『愛の渦』
美術:清水剛 『戦国自衛隊1549』『進撃の巨人』
編集:伊藤潤一 『冷たい熱帯魚』『TOKYO TRIBE』
制作:山内遊 『寄生獣』『踊る大捜査線』
衣装:澤田石和寛 「るろうに剣心」シリーズ
ラインプロデューサー:船木光 『冷たい熱帯魚』『ヒミズ』
助監督:綾部真弥 『新宿スワン』
撮影:2014年10月 完成:2015年4月
公開:2016年
配給:調整中 海外:日活

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