【本】神の子どもたちはみな踊る / 村上春樹

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)
 

お正月「1Q84」を読んで以来、ちょっと村上春樹を読んでみようという気になっている私。

今回は阪神淡路大震災をモチーフとした短編集、「神の子どもたちはみな踊る」を読みました。

阪神淡路大震災の時は、大阪に住んでいて、実際に揺れを体験した私。
自分の被害はゼロだったのですが、この震災に関しては、やはりちょっとした思いがあります。

震災の前の自分と、震災の後の自分では、心のありようが変わったように思います。
とはいえ、まあ大した変わりようでもないんですが、なんか自分的に。

この短編集は、そんな“直接の被害はなかったけれど、震災により、こころにある種の「爪痕」がついた人々”の物語なんだと思います。

うーん、今回のブログ、ちょっと熱いかも。。。

<STORY>
大学生・善也には父親がいない。完全に避妊をしていたにも関わらず、三度も連続して懐妊した善也の母は、三度目は堕胎をせず、善也を生んだ。そしてある宗教と出会い、善也は「神の子」であると信じ、育ててきたのだ。母が阪神大震災のボランティアへと出かけているある日、善也は右側の耳たぶが欠けている男と出会う。それは、母から聞いていた善也の“生物学的な”父親の特徴と一致していた。善也はその男の後を思わずつけるが…。(表題作:「神の子どもたちはみな踊る」。その他5編を収録)

<感想>
1995年(平成7年)1月17日の阪神淡路大震災から、15年が経ちました。
この地震の瞬間、私はちょうど起きていて、友人4人でおしゃべりをしていたのでした。
地震が少ないと言われていた関西に暮らして3年目で、初めて体験した大きな地震にかなり驚きました。
そして、朝のニュースが始まって、その被害の大きさに驚いたのでした…。

この「神の子どもたちはみな踊る」は、その地震の1ヶ月後、2009年2月に、地震とは直接関係はなかった人々の間で起こった物語です。

その人たち自身は、地震を体験していない。
でも、その時、地震は既に起こっていた。
地震が起こったことにより、世界は「地震の起きていなかった世界」とは変わってしまった。
1984年が、ある瞬間に「1Q84年」に変わってしまったように、「阪神淡路大震災が起きた後の世界」に変わってしまったのです。

自分には関係のないことだと思っていても、同じ時代に生きている以上、その影響は、どこかで受けているのでしょう。
私も、地震を経験したことにより、自分の未熟さや、愚かさを実感しました。
その実感は、今でも、心の中に小さな爪痕を残しています。
でも、「地震の起きていなかった世界」には、もう誰も戻れません。

世の中は諸行無常だなあと思います。
世の中、永遠に続くものなどないんだなあと。

ゴルフ界の大スターだったタイガー・ウッズはセックス・スキャンダルにまみれるし、日本を代表するアイドル、SMAPの一員である草なぎ剛は夜の公園で全裸になり逮捕されました。
これらの事件の起きていなかった世界には、もう戻れません。

でも、これらの事件が起きた後でも、世界の人々の人生は続いて行き、生活は営まれます。
事件は忘れられたりもするし、「結果的にはいい思い出」に脳内変換されたりもします。
「つよぽん、やっぱりいい人だねー。あの記者会見には感動した」と、良い方向にハンドルを切りなおすこともできるのです。

まあ、結局、本書を読んでの感想を一言で要約すると、「世界のものごとはすべて関係性があって、自分もその世界の中のひとつの要素なのだなあ」と言うようなことでしょうか。

阪神淡路大震災から15年たった今、はるかカリブ海にあるハイチ共和国では、ハイチ大地震が起こりました。
この地震により、また少し、世界のありようは変わったのかもしれません。

なんか、やっぱり熱くて色々すみません。。。

【関連作レビュー】
■映画『神の子どもたちはみな踊る』http://c-movie.jp/review/all-gods-children-can-dance/

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