【映画レビュー】華麗なるギャツビー / The Great Gatsby
うん、これぞバズ・ラーマン!
バズ・ラーマンの新作映画『華麗なるギャツビー』は、ゴージャスできらびやか、ムダに派手でムダにご機嫌な、でもやがて哀しき物語です。
主演は、キャリアも絶頂期は過ぎて落ち着き、中年にさしかかり美貌も衰え、それがかえって魅力になってきているレオナルド・ディカプリオ。
そして彼の恋人を演じるのは、今がまさにキャリアも絶頂期、旬の女優としてまばゆいような魅力を放つキャリー・マリガン。
この二人はじめ、それぞれの俳優のキャラクターがその役にさらに説得力をプラスしているような、キャスティングも絶妙なこの作品。
個人的には、バズ・ラーマン作品の仲では一番好きだなあ。。。
レオ様も、オスカーノミネートはされるだろうなあと思える熱演で、“一見超自信家な大富豪、その実一途に女性を思う純情な色男”という新たな魅力を開花させていると思います。
<STORY>
ニューヨークが好景気にわく1922年。ウォール街の証券会社に務めるニック・キャラウェイは、隣家の豪邸に住む謎の大富豪、ジェイ・ギャツビーからパーティーに招待される。謎めいたギャツビーと仲良くなったニックは、実はギャツビーがニックの従妹で彼らの家と対岸にある豪邸に住む人妻・デイジーと過去に恋仲だったことを知る。二人を引き合わせるためニックが催したお茶会で再会したギャツビーとデイジーは、再び激しい恋に落ちる…。
<解説>
F・スコット・フィッツジェラルドの20世紀アメリカを代表する小説「グレート・ギャツビー」。
近年、村上春樹が邦訳を手がけたことでも話題となりました。
この小説は1974年にもジャック・クレイトン監督、ロバート・レッドフォード、ミア・ファロー出演で映画化されています。
かつて『ロミオ+ジュリエット』で手を組んだレオナルド・ディカプリオとバズ・ラーマン。
その頃はまだ少年の魅力を残していたレオ様、現在では中年の魅力が加わってきて、時の流れというものを感じさせますねえ。。。
プラダとミュウミュウ、ブルックス ブラザーズにティファニー、モエ・エ・シャンドン、M・A・C、Fogalと言った錚々たるブランドが協力しているこの作品、前半はなんともきらびやか。
まさに“黄金の20年代”、“狂乱の20年代”と言った雰囲気で、お金持ちの乱痴気騒ぎや大規模なパーティーシーンが続きます。
しかし、後半になると雰囲気は一転。
行われるパーティーもどこかわびしいものとなり、虚飾の雰囲気が漂ってきます。
前半がきらびやかであればあるほど、後半に入ると、その虚飾の虚しさが際立つようになるのです。
魅力の頂点にある若く光り輝く美女・デイジー、デイジーのために無理をかさね、そのメッキがだんだんとはげて来る男・ギャツビー、そのギャツビーとデイジーの恋物語を一番近くで見守り続ける傍観者・キャラウェイ。
それぞれのキャラクターがみな魅力的で、それがゆえに時代の浅薄さ、虚飾性、人間の弱さと愚かさがあぶり出されるようになっているのです。
キャラクターが魅力的であればあるほど、パーティーが華やかであればあるほど、そのすべてが虚しい…。
この“虚しさ”を描くのが、バズ・ラーマン監督は本当に上手。
そういう意味で、この映画を再製作するのに、彼ほど相応しい監督はいなかったのだろうと思います。
『華麗なるギャツビー』(142分/アメリカ/2013年)
原題:The Great Gatsby
公開:2013年6月14日
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場:全国にて
原作:F・スコット・フィッツジェラルド
監督・脚本:バズ・ラーマン
製作総指揮:シェーン・“ジェイ・Z”・カーター
出演:レオナルド・ディカプリオ/トビー・マグワイア/キャリー・マリガン/ジョエル・エドガートン/アイラ・フィッシャー/ジェイソン・クラーク/エリザベス・デビッキ/アミターブ・バッチャン/アデレイド・クレメンス/ブレンダン・マクレーン/カラン・マッコーリフ/ジェマ・ワード
公式HP:http://www.gatsbymovie.jp/
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