【映画レビュー】リアル・スティール ／ Real Steel

2020年、元ボクサーのチャーリーはロボット・ボクシングの賭け試合などで生計を立てていた。ボクシングは生身の人間ではなく高性能のロボットたちが闘う競技に進化していたのだ。ある日、かつての恋人が生んだ息子・マックスがチャーリーのもとにやって来る。マックスはATOMという旧型ロボットをゴミ捨て場で見つけ、家に持ち帰って来た。ATOMを気に入ったマックスは、チューンナップしてボクシングの試合に出場することを決意する。

一見、ロボット・ボクシングという“男の世界”を描く格闘映画なのかと思える本作。
実は、ものすごーく多くの要素を持った作品です。

“親子愛”
母のもとで育ち父親に愛されたことのない息子と、息子の愛し方がわからない父親が、ロボット・ボクシングの試合を通して心を通わせて行きます。

“スポーツ映画的要素”
小さくてボロボロの旧型ロボットが、少年のプログラミングによってパワーアップしていき、その持てるパワーを最大限に発揮できるようになります。
本来なら勝利できるはずもないと思われる大きく厳ついロボットたちに勝利していくATOMの姿が、なんだか感動を誘います。
ボクシングシーンは、あの有名なボクサーシュガー・レイ・レナードが監修しているということで、スポード感も迫力もあり、映像的にも楽しめるはず。

“子役の可愛さ”
マックスを演じるダコタ・ゴヨくんが、もう可愛い！
小さな身体で小生意気な口をきくチビっ子が、大きなロボットを捜査している姿も可愛らしいです。
ATOMと心を通い合わせ、模倣機能を活用してダンスを教え込んだりする姿もこまっしゃくれてます。
涙をためた目でパパを見つめるマックスの姿もいじらしいです。
なんだかんだ言って、可愛い子役は正義です。

“B級感”というか、“厨二感”
ここは好き嫌いがわかれるところでしょうが、ロボット・ボクシングに登場するロボットたちの“少年の妄想をそのまま形にしたような”B級感とか、好きな人にはたまらないはず。
冒頭に出てくる“超悪男子”ことノイジーボーイの造型とか、頭がふたつあるツイン・シティズの造型とか、ね…。
もう、なかなかのバカバカしさです。
このロボット・ボクシングのWRBタイトル戦が行われるアリーナの作り物感や、WRB王者・ゼウスのオーナーであるロシア財閥の令嬢の衣裳などもリアリティがなくていいですね。

“世紀末感”
ロボット・ボクシングで有名になる前、彼らはアンダーグラウンドの賭けロボット格闘場で名を上げていくのですが、ここの描写がなかなかに世紀末。
モヒカンに鋲付き革ジャンなんかを着こなしたいかつい男どもが、うひゃうひゃ言いながら賭けに興じているわけです。
このヒャッハー感、個人的にかなりツボでした。

“男を支えるいい女”
エヴァンジェリン・リリーが演じているベイリーは、チャーリーを育てたボクシング・ジムオーナーの娘。
チャーリーが若く駆け出しの頃から知っている彼女は、プロボクサーで頂点にいる時も、おちぶれてアンダーグラウンドの格闘場をドサ回りしている時も、彼のそばに寄り添っていました。
男を陰で支えつつも、必要な時は叱咤し、必要な時は突き放す…。
これをいい女と言わずして、何と言うのでしょうか。

と言うように、いろいろな要素、いろいろな顔を持ったこの映画『リアル・スティール』。
男の人も女の人も、大人も子どもも、いろいろな人に響く要素がいっぱいなので、きっとみんな楽しめるはず。
年末年始のデートなどにもオススメの一本です。