【映画レビュー】ハンガー・ゲーム FINAL：レジスタンス ／ The Hunger Games: Mockingjay – Part 1

ハンガーゲーム75回記念大会に参加していたカットニス・エバディーンは、危機一髪のところで独裁国家パネムに叛旗を翻す反乱軍に救出された。スノー大統領を倒し、自由で平等な新国家を作ろうとしている反乱軍のコイン首相たちは、カットニスを革命のシンボル“マネシカケス”として利用しようとしていた。カットニスは政府に囚われているピータと仲間たちの救出を条件に、“マネシカケス”として反乱軍の表に立つことを決意する。

『ハンガー・ゲーム2』の最後に反乱軍に救出されたカットニスが目をさますところから始まる本作『ハンガー・ゲーム FINAL：レジスタンス』。
これまでのパートナーだったピータの生死が不明なまま、自分一人が反乱軍に助け出されたことに戸惑いを抱いています。
しかし、自分の生まれ故郷である第12地区が、反乱軍を鎮圧する政府軍に爆撃され、瓦礫の山となっている様を目撃し、反乱軍の象徴である“マネシカケス”として立ち上がることを決意するのです。

前作までの彼女は、ただの平凡な少女で、そんな平凡な少女が生き延びるために戦ううちに、やがてヒロイックな存在となっていただけでした。
でも、本作からは、自らの意思だけでは動けない象徴的な存在になってしまいます。

“マネシカケス”としては、自らの思いとは反する行動を取らなければならない場合もある。
でも、カットニス個人としては、政府軍に囚われているピータのことが一番気になるし、彼を見捨てることができない…。

さらに、年頃の少女でもあるカットニスは、幼い頃から共に成長してきたボーイフレンド、ゲイル（リアム・ヘムズワース）と、ハンガー・ゲームで死線を共にくぐり抜けたという強烈な体験を共有するピータ（ジョシュ・ハッチャーソン）との間でも、心を乱しています。
幼い頃から共に生き今そばにいるゲイルと、強烈な体験を共にし今も苦難の中にいるであろうピータ。
自分はどちらに惹かれているのか。カットニスである自分と、マネシカケスである自分は、どちらを愛しているのか…。

そして、そんな様々な立場から千々に乱れる彼女の心を反乱軍のコイン首相とプルタークは、老獪に利用していくのです。

ジェニファー・ローレンスは、そんな二つの立場に引き裂かれるカットニスを、エモーショナルに演じています。
彼女のフレッシュさがゆえに、コイン首相を演じるジュリアン・ムーアの老獪さ、フィリップ・シーモア・ホフマン演じるプルタークの得体の知れなさが、さらに引き立っているとも言えるでしょう。

ただのヤング・アダルトムービーの枠を越え、政治的なメッセージをも持ち始めた映画『ハンガー・ゲーム FINAL：レジスタンス』。
またもや、盛り上げるだけ盛り上げて、続きが気になるところで終わってしまいます。

カットニスは何を選択するのか、パネムはどうなるのか、続きとなる『ハンガー・ゲーム FINAL：レボリューション』の公開が待たれるところです。