【映画レビュー】ハンガー・ゲーム ／ The Hunger Games

巨大国家ベナムは、最先端都市・キャピトルと12の隷属地区から構成されていた。ベナムでは、74年前の反乱への見せしめのため、各地区の12～18歳の子どもたちの中から男女一人ずつを選出し、24人で殺し合いをさせる“ハンガー・ゲーム”が行われている。12地区に暮らすカットニス・エバディーンは妹の身代わりとして第74回ハンガー・ゲームに出場することに。同じく12地区から出場するピータと共に、ゲームの行われるキャピトルへ向かう…。

少年少女が無差別に殺し合うというストーリーで『バトル・ロワイアル』を彷彿とさせなくもないこの作品。
他にも、人びとの殺し合いが一般人の娯楽として世界に提供されていたりするあたりも、なんか他の映画でもよく観るような…。

とはいえ、この『ハンガー・ゲーム』には独自の要素もプラスされていたりします。

それは、殺し合いをする少年少女たちにスタイリストやコーチたちがついており、人びとからの支持率を上げるためのイメージ戦略を指南したり、作戦をコーチしたりする点です。
他にも、首都キャピタルで歌舞いた奇天烈な衣装で享楽的な生活を送る人びとと辺境地域に生きる被支配層との生活格差や、主人公カットニスの故郷での家族やボーイフレンドとの心の触れ合い、殺し合いをすることとなるカットニスとピータの恋愛など、面白い要素がいくつも。

ただ、惜しいのは、143分という長尺にも関わらず、すべてが描ききれずに中途半端になってしまっている点でしょうか。
原作小説を読んでいる人にとってはそれでもよいのかもしれませんが、読んでいない人には「あれ、あの彼はどうなったの？」とか、「スポンサーつけるためにあれだけ煽っといて、差し入れそれだけ？」などと思ってしまうような…。

原作の人気設定をすべて盛り込んだがゆえの中途半端感なのだと思うのですが、一本の作品にどうしてもまとめたいのであれば、いくつかの設定を切り捨てた方が、“映画”の完成度としては高くなったのではないかと思います。

とはいえ、キャピトルに暮らす人びとの奇天烈なファッションや、ジェニファー・ローレンス演じるカットニスとジョシュ・ハッチャーソン演じるピータの純愛と成長など、見どころもたっぷり。

全米で社会現象を巻き起こすほど大ヒットしている作品というだけあって、注目しておいて損はない作品ではあると思います。
でもまあ、原作を読んでから観る方が、楽しめるんじゃないのかな。。。