蒼の乱
劇団☆新感線2014年春興行として2014年の3、4、5月に行われたいのうえ歌舞伎「蒼の乱」。
私も、4月2日に渋谷の東急シアターオーブにて観てきたこの舞台が、ゲキ×シネ『蒼の乱』となりました。
その時の感想ってどうだったかなとツイッターを見返してみると、下記のような感想が。
東急シアターオーブにて、劇団☆新感線のいのうえ歌舞伎「蒼の乱」。
天海祐希と松山ケンイチを主演に迎え、坂東の乱を起こした英雄・将門小次郎とその妻の物語をえがく。
まさかのチャン・イーモウ。まさかの馬。
うん、堪能しました。
— Chiemi MATSUMURA (@cheese903) 2014, 4月 2
それにしても「蒼の乱」、かなり挑戦的な一作だと思う。これをやればファンは喜ぶテンプレートが出来上がっているので、そこから外れて新しい何かを生み出そうという勢いを感じた。
それと、まつろわぬ者、道々の輩への共感は今までも強かったけど、最近は虐げられる庶民に対する思いもあるような。
— Chiemi MATSUMURA (@cheese903) 2014, 4月 2
舞台とゲキ×シネの両方を観た人間としては、だいぶ鑑賞後の印象が違う気がしました。
168分と(ゲキ×シネにしてはかなり)短く尺を詰めてきただけあって、新たなチャレンジをしてきているのがうかがえます。
新感線の魅力の一つでもあるハケ際の小芝居など、かなりのシーンをカットしてでも、芝居としてより映画としての見やすさを追求している、という感じ。
映像の面でも、手前の人物から後ろの人物にフォーカスを移す技法がかなり多様されていましたが、これはこれまでのゲキ×シネではあまり観られなかった気がします。
<STORY>
平安中期、京の都で渡来衆たちが襲われ、長の蒼真と桔梗だけが生き延びる。彼女らを助けたのは、坂東武者の将門小次郎。三人は帳の夜叉丸に招かれて西海を訪れ、蒼真たちの同胞で一緒に海を渡ってきた伊予純友と再会。西海を支配する純友は、小次郎に東国で立ち上がり、西と東から京の支配を転覆させようともちかける。小次郎は蒼真らを連れ故郷の東国・坂東に帰り、乱れていた坂東を治めた。そして小次郎は武将として名をあげていくが…。
<解説>
平将門、伊予純友など、平安中期に京に反乱を起こした“まつろわぬ者”たちの物語を描いた本作。
松山ケンイチが平将門を、天海祐希が将門の愛した女性・蒼真を演じています。
そこに粟根まこと演じる伊予純友、早乙女太一演じる帳の夜叉丸(とばりのやしゃまる)、平幹二朗演じる常世王(とこよおう)ら、京の支配に反感を持ち、自由に生きようとする“まつろわぬ者”たちがそれぞれの思惑を持って絡んでくるのです。
将門は坂東の名家出身ながら、民に圧政を加えた叔父たちを殺した身。
蒼真、蒼真の仲間の桔梗(高田聖子)、伊予純友はもともと大陸から逃げて日本に渡ってきた渡来衆、常世王らは蝦夷の人間です。
それぞれ皆、その当時の、京の支配する主流派から外れるルーツを持ち、それが故に生きづらさを感じている民たち。
そんな彼らが、西海、東国から、京を挟み撃ちにし、日本の支配を転覆させようと企むのです。
そんな“まつろわぬ者”の中で、唯一、裏を持たないのが平将門。
橋本じゅん演じる黒馬鬼と名付けた馬(最高!)とも話せちゃうくらい、純粋な男なわけです。
そんな純粋な将門が、一枚も二枚も上手の裏のある面々に翻弄されつつ、自分なりの正義を通していくのが、本作『蒼の乱』なのです。
そんな将門は、まさに英雄と書いてヒーロー。
ラストのチャン・イーモウオマージュも納得なのでした。
中島かずき、怨霊とも神とも言われ畏れられる将門を、純粋な一人の英雄として描き、松山ケンイチはそんな将門のまっすぐさを見事に体現しています。
3時間超え当たり前、インターミッション必須の新感線の舞台を、かなりカットして168分という時間に収めたこのゲキ×シネ『蒼の乱』。
ゲキ×シネとしても新たなチャレンジを感じさせる一作でした。
ただ、ストーリーの本筋ではない余計な部分を大胆にカットしている分、新感線の舞台の映像化としては、少しパワーダウンしている気も。。。
ただ、新感線を知らない一般のお客さんにもっとゲキ×シネを楽しんでもらうためには、ここまで尺をカットしないといけないのかもしれません。
うーん、難しいところですなあ。。。
『蒼の乱』(168分/日本/2015年)
公開:2015年5月9日
配給:ヴィレッヂ、ティ・ジョイ
劇場:全国にて
作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:天海祐希/松山ケンイチ/早乙女太一/森奈みはる/梶原善/粟根まこと/高田聖子/平幹二朗/橋本じゅん/右近健一/河野まさと/逆木圭一郎/村木よし子/インディ高橋/山本カナコ/礒野慎吾/吉田メタル/中谷さとみ/保坂エマ/早乙女友貴/川原正嗣/武田浩二
Official Website:http://www.aonoran.com/
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