ボーン・レガシー／ The Bourne Legacy

2012/8/6 外国映画は行, 映画レビュー

ジェイソン・ボーン三部作に連なるボーン・シリーズの最新作にして、ジェレミー・レナー演じる新たな主人公のお披露目作品である映画『ボーン・レガシー』。

“兵士改造計画”と言えば『ユニバーサル・ソルジャー』的なSF的世界観の作品や、「仮面ライダー」のような特撮シリーズを思い出しますが、この『ボーン・レガシー』では、マット・デイモン演じるジェイソン・ボーンやジェレミー・レナー演じるアーロン・クロスが、CIAによる兵士改造によって作り上げられた超人的兵士であることが示唆されています。

うーん、そりゃどんなに修羅場に追い込まれたって死なないわけよね。
さすがに訓練だけであそこまで体力、戦闘力、危機管理能力、状況察知能力の高い超人的暗殺者を作れるわけはないのか…。

＜STORY＞
CIAの“アウトカム計画”によって養成されたスパイのアーロン・クロスはアラスカで訓練を受けていたが、度重なる予定変更に、何か異変が起きていることに気づく。実は“アウトカム計画”の前身の“トレッドストーン計画”で生み出されたジェイソン・ボーンの復活により、“アウトカム計画”の中止が決定され、関係者の抹殺命令が出されていたのだ。クロスは“アウトカム計画”に関わってきた研究者・マルタと共に、マニラにある研究所に向かう…。

＜Cheeseの解説＞
この映画の冒頭は、水中に半裸で沈む人影から始まります。
これまでの「ジェイソン・ボーン」シリーズと言えば、ジェイソン・ボーンが海に漂っているシーンから始まるのがお約束だった訳ですが、新ボーンシリーズもそのお約束を継いでいるようですね。

「お、ジェイソン・ボーン？」と思いつつ見ていると、その人影は元気に泳ぎ出し、それがジェイソン・ボーンではなく新主人公だということがわかります。
そしてカメラがひくと、そこは極寒のアラスカの河。
雪が舞散り氷が浮かぶ河の中から浮かんできたアーロン・クロスは、ザバザバと河から上がってくるのです。

どう考えたって心臓マヒを起こしてしまいそうな環境で泳ぎ、寒さで震えることもなく、わりと平気な顔でいるアーロンを見ただけで、観客に「彼はただ者ではない」と思わせる、秀逸なオープニングです。

この物語は“トレッドストーン計画”で生み出されたジェイソン・ボーンが自分の意志を持って動き始めたことを脅威に感じたCIAが、“トレッドストーン計画”の流れを汲む一連の計画を中止し、関係者を亡き者にしようとすることから始まります。

“トレッドストーン計画”の後継である“アウトカム計画”によって作られたアーロン・クロスは、その超人的状況察知能力で命を狙われていることにいち早く気付き、自分にとって必要な薬を手に入れるため、“アウトカム計画”に関わっていた研究所に赴きます。
そこで、同じく“アウトカム計画”に関わったために命を狙われていた女性科学者マルタを救い、彼女を利用して薬を手に入れることを画策。
二人で薬があるとおぼしきフィリピンのマニラへ飛びます。
もちろん、そこにも追っ手が現れて、執拗に彼らふたりの命を狙ってくるのですが…。

特に期待値を上げずに見る分には、普通に面白いアクション映画だと思うのですが、“ボーン・シリーズの最新作”と思ってみると、どうも評が辛くなってしまいますね。

アレックスとマルタが逃亡し、追っ手と戦う理由が受動的なことも、辛くなってしまう理由の一つかもしれません。
自らを取り戻すため、そして愛のために戦うボーンと、生き延びるために戦うクロスでは、ドラマの重みが違うので、それはしょうがないのかもしれませんが…。

そうそう、女性科学者のマルタ・シェアリング博士を演じるレイチェル・ワイズ、大人のいいオンナというイメージがありますが、この作品では前髪が短くて、なんだかとっても可愛らしいです。
途中から前髪を上げているのですが、そうしているといつものレイチェル・ワイズのイメージで、ちょっと老けた感じ。
うーん、やっぱり前髪のあるなしで人の見た目年齢を決めるのに重要だな。。。
というわけで、私も最近前髪を下ろしてます。関係ないか。

別コラム：オトコに見せたいこの映画『ボーン・レガシー』

『ボーン・レガシー』（135分／アメリカ／2012年）
原題：The Bourne Legacy
公開：2012年9月28日
配給：東宝東和
劇場：TOHOシネマズ日劇ほか全国にて
監督・脚本：トニー・ギルロイ
出演：ジェレミー・レナー／エドワード・ノートン／レイチェル・ワイズ／ジョアン・アレン／アルバート・フィニー／デヴィッド・ストラザーン／スコット・グレン／ドナ・マーフィ／ステイシー・キーチ／ジェリコ・イヴァネク／コリー・ストール／オスカー・アイザック／ルイ・オザワ・チャンチェン
公式HP：http://bourne-legacy.jp/