【映画レビュー】よりよき人生 / Une vie meilleure
セドリック・カーン監督がギヨーム・カネを主役に迎えて描く“家族”の映画『よりよき人生』。
血のつながりや恋愛感情のない大人と子どもが、日々の生活を通して父と息子になっていく様子を描いています。
苦しい生活や不安な気持ちの中で一緒に暮らし続けることで出来た“絆”の方が、目に見える“絆”よりも強いのかもしれない…、そんな風に思わせてくれる人間ドラマです。
<STORY>
コックのヤンはシングルマザーでウェイトレスをしているナディアと恋に落ちる。ヤンは夢だったフレンチ・レストランをナディアと共に開業しようと店鋪を購入するが、資金繰りがうまくいかずなかなか開店できない。膨らむ借金を見かねたナディアはヤンと別れ、9歳の息子・スリマンをヤンに預けてカナダに仕事に行ってしまう。すぐにスリマンを迎えにくる約束だったが、なかなか彼女は迎えに来ず、やがて手紙も来なくなってしまう…。
<解説>
フレンチレストランの開業を夢見て店鋪を購入する35歳のヤンと、シングルマザーとして9歳の息子を育てながら、ウェイトレスとして働く28歳のナディア。
彼らは夢のレストランを経営するため、店鋪を購入し、開業の準備を始めます。
しかし、計画性もなく資金も不足していたため、夢の計画は頓挫。
生活するお金もなくなり、ヤンとナディアの仲も冷えていきます。
そして、ナディアは当面の生活資金を稼ぐため、ヤンに息子のスリマンを預け、カナダに出稼ぎに行くのです。
ここまでの前半は、ほぼヤンとナディアの物語なのですが、ここから物語の様相が変わります。
カナダに行ってしまったナディアとは連絡がとれなくなり、ヤンとスリマン、疑似親子の物語となっていくのです。
ヤンはスリマンと二人、安宿でその日暮らしをしながら、辛い生活を送ります。
スリマンが欲しがるバスケットシューズも買ってあげられず、親権がないことを咎められながら、ヤンはスリマンを守り抜きます。さながら、本当の父親のように。
そうして、彼らは媒介となっていたナディアを抜きにして、本物の親子のようになっていくのでした。
それにしても、ヤンもナディアも悪い人間ではないのですが、あまりにも計画性がなさ過ぎる。
振り回される子どものスリマンが、やっぱりかわいそうですよね。。。
人のフリ見て我がフリ直せではないけれど、私もあまり計画性のない人生を送っているので、ちょっと反省してしまいました。。。
この疑似家族の物語である本作、セドリック・カーンが見つけた“家族とは何か”という問題へのひとつの答えだと思います。
いろいろと思うことがありますが、まあ、よりよき人生を送るためには家族もだけど、計画性も必要だよね…、というのが大きな感想のひとつでもあります。
『よりよき人生』(110分/フランス=カナダ/2011年)
原題:Une vie meilleure
英題:A Better Life
公開:2013年2月9日
配給:パンドラ
劇場:新宿武蔵野館にて
監督・脚本:セドリック・カーン
出演:ギヨーム・カネ/レイラ・ベクティ/スリマン・ケタビ/ブリジット・シイ
公式HP:http://yoriyoki.net/
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D) (2013-10-11T00:00:01Z)
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