【映画レビュー】マリーゴールド・ホテルで会いましょう ／ The Best Exotic Marigold Hotel

長年連れ添った夫を亡くしたイヴリンは、インターネットで見たインドの高級リゾートホテルで余生を送ることを決める。そのホテルにはイギリスから計7人の老人たちが移住を決めていた。しかし彼らを待っていたのは、ホームページとはまったく違うボロボロホテル。若き支配人のソニーは調子の良く客たちを納得させ、7人はしぶしぶこのホテルで暮らし始める。イヴリンは前向きにインドに馴染もうとし、7人の同居人とも積極的に交流を始める。

ある程度年をとってくると、自分の人生というものを見切って、「私はもうこの程度」「新たな挑戦なんて無理無理」と諦めてしまう人の多いもの。
しかし、この映画の登場人物たちは違います。
それぞれにいろいろな事情を抱えているものの、彼らはみな人生の第一段階を終え、見知らぬ異国で新しいステージに踏み出そうするのです。

もちろん、彼らの冒険がすべてスムーズに行くわけではありません。
豪華なリゾートホテルだと思ったら、ボロボロの汚いホテルだし、食べものだってすべてが口に合うわけではないし…。

でも、ジュディ・デンチ演じる主人公・イヴリンは、そんな予想外の状況を楽しみながら、一緒に暮らす人びととのコミュニケーションを大事にし、毎日の生活を楽しもうとしています。
その結果、人間関係は広がり、人生初めての就職をし、新たな恋（!?）も始まるのです。

彼女の様子を見ていると、何事も決めつけず、自由に人生を楽しむことの大切さを実感します。
いくつになっても、どんな厳しい状況に陥っても悲観せず、何事も楽しもうとする姿勢こそが、人生を充実させるのだなあと…。

この映画では、マリーゴールド・ホテルというインドのホテルが重要な舞台となっています。
『スラムドッグ$ミリオネア』のデヴ・パテル演じるこのホテルの若き支配人・ソニーは、夢と希望にあふれ、自分が素晴らしいホテルを作り上げることを信じています。

ホームページと写真がまったく違うことを客から咎められても、「それは完成図です。これからそういうホテルにするんです」と調子良くお客たちを丸め込みます。
でも、それがイヤミにならないのは、彼がそれを本当に信じ、その夢に向かって努力しているから。

「最後にはみんなうまくいく。うまくいかなくても大丈夫、それはまだ途中なんだ」

そう思って努力を重ねれば、絶対に不可能に思えることも、いつかは叶うのかもしれません。