【映画レビュー】ピエロがお前を嘲笑う / Who Am I – Kein System Ist Sicher
なんとも秀逸な邦題の映画『ピエロがお前を嘲笑う』。
“ピエロがお前を嘲笑う”なんて、思わず観たくなってしまうじゃないですか。
原題(Who Am I – Kein System Ist Sicher)や英語題(Who Am I – No System Is Safe)より、断然、この邦題の方が観たくなりますよね。
ちなみにこの邦題、主人公が結成するハッカー集団、CLAYの語源となる “Clown laugh at you” という言葉が元になっています。
<STORY>
天才ハッカーのベンヤミンが警察に出頭してきた。彼はハッカー集団CLAYの一員として国際指名手配された身だった。彼は自分の過去を語り始める。試験問題のハッキングで一度逮捕された彼は、社会奉仕活動中にカリスマ的な魅力を持つマックスと出会う。そしてマックスの仲間たちとともに、CLAYを結成し、ドイツ国内の様々な管理システムにハッキングを仕掛けたのだ。しかし、ベンヤミンのハッキングがきっかけで殺人事件が発生してしまい…。
<解説>
“マインドファック・ムービー”と銘打つこの作品。
耳慣れない言葉ですが、mind-fuckとは、他動詞的に使われ“(人を自由自在に)操る”などの意味があるそうです。
“mindfuck movie”という映画ジャンルも海外では既に確立していて、“観客を自由自在に操る映画”を、そう呼ぶのだとか。
『プリデスティネーション』や『複製された男』、『インセプション』などが、“mindfuck movie”に該当するそうです。
そんな“マインドファック・ムービー”であるこの作品。
物語のほとんどは、主人公のベンヤミンの口から語られます。
気の弱いルーザーのベンヤミンが、カリスマ的な魅力を持つマックスやその仲間たちと出会い、ハッカーとして上り詰めていきます。
そして、ドイツ連邦情報局へのハッキングまで成功させ、ユーロポール(欧州刑事警察機構)からも手配されるようになり、ベンヤミンは警察に出頭してくるのです。
ベンヤミンの目的は何なのか?
CLAYとは何なのか? 何を笑っているのか?
(自分)とは何者なのか?
安全なシステムなんて、本当にないのか?
ベンヤミンは、そんな謎を、警察に、そして観客に突きつけてきます。
ドイツで大ヒットを記録し、ハリウッドリメイクも決定した本作。
アメリカのバラエティ誌で“世界で注目すべき監督10人”にも選出された1978年生まれの新鋭、バラン・ボー・オーダー監督の描いた世界に、心地よく惑わされ、流れるEDMに頭の中まで麻痺させられてしまうような一作です。
なぜかエンドロールでロイヤル・ブラッドのアルバムの告知をしていたりするのも、個人的には好感が持てました(笑)。
『ピエロがお前を嘲笑う』(106分/ドイツ/2014年)
原題:Who Am I – Kein System Ist Sicher
英題:Who Am I – No System Is Safe
公開:2015年09月12日
配給:ファントム・フィルム
劇場:新宿武蔵野館ほか全国にて
監督・脚本:バラン・ボー・オーダー
共同脚本:ヤンチェ・フリーゼ
楽曲提供:ボーイズノイズ/ロイヤル・ブラッド
出演:トム・シリング/エリアス・ムバレク/ヴォータン・ヴィルケ・メーリング/アントニオ・モノー・ジュニア/ハンナー・ヘルツシュプルング/トリーネ・ディアホルム
Official Website:http://pierrot-movie.com/
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