【映画レビュー】ロックアウト ／ Lockout

ヨーロッパ・コープと言えば、世界各地の若く才能あふれる映像作家たちを見出しては監督を任せ、数々の快作を世に送り出している製作会社。
本作でも、それほど若くはないのですが、これまで短編映画やCFなどを手がけてきたアイルランドの新鋭監督コンビ、スティーブン・レジャーとジェイムズ・マザーを見出して、監督を任せています。

若い監督たちにとっては、リュック・ベッソンのような海千山千のプロデューサーの後ろ盾と資金を得て、いろいろと経験できるのは、いろいろな意味で刺激になるはず。
リュック・ベッソンにとっても、若い才能やあふれる意欲、斬新なアイデアや新しい映像技術を取り込むことができる、よい関係と言えるでしょう。

そんな新鋭監督二人がリュック・ベッソンから与えられたのは、2079年を舞台にした近未来SF。
囚人たちに占拠された宇宙に浮かぶ刑務所から、無礼なCIAエージェントのスノーが美しい大統領令嬢を救い出すという脱出劇です。

CIAエージェント・スノーを演じるのは『プリシラ』、『メメント』のガイ・ピアース。
最近は『ハートロッカー』の爆死してしまう上官、『プロメテウス』の大富豪老人など、印象的な脇役などが多かった彼ですが、ガッツリ体を作り込み、皮肉屋で口の減らない腕利きエージェントを演じています。
実は、ガイ・ピアースは16歳の時にオーストラリアのボディビル・チャンピオンになった経験もあるそうで、そんな彼がウェイトトレーニングで作り込んだ肉体は、やっぱりお見事。
何があっても守ってくれそうなガッチリボディには、やっぱり憧れますね。

そんなガイ・ピアースが救い出すことになる大統領令嬢・エミリーを演じるのは、ドラマシリーズ「LOST」のシャノン役でブレイクしたマギー・グレイス。
生真面目ながらも気が強く、口も達者な大統領令嬢を好演しています。
こういう気の強い美人に弱い男性、きっと多いはず…。

まあ、正反対の性格をしたスノーとエミリーのバディムービーのような行程や、迷路のような宇宙刑務所の仲、500人の囚人たちをまいて逃げるという脱出劇、宇宙を舞台に刑務所がそなえる自動防御システムとアメリカから送り込まれる小型宇宙艇とのバトルなど、なかなか見応えのある点も多いです。
95分、それなりに楽しませてくれます。

でもね、なんだかあんまりオリジナリティを感じる部分はないんですよね。。。
その分、安心してみれる部分はあるのですが、ものたりない部分は残るかも。

でも、ゆっくりビールでも飲みながら、何も考えずレイトショーなどで観るには、なかなかオススメの映画です。