【映画レビュー】トゥルー・グリット / True Grit
でっぷりと膨らんだお腹をさらけ出し、いぎたなく眠りこけたりしてしまうジェフ・ブリッジスの演技がなんとも素晴らしい、ジョエル&イーサン・コーエン兄弟の最新作『トゥルー・グリット』。
ジェフ・ブリッジス演じる酔いどれ保安官、コグバーンだけじゃなく、頑なで小生意気な少女・マティを演じるヘイリー・スタインフェルドもいいです。
と思ったら、このふたり、アカデミー賞の主演男優賞と助演女優賞にノミネートされてるんですね。。。
作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞、脚色賞、音響編集賞、撮影賞、美術賞、衣装デザイン賞、音響賞の計10部門でオスカーにノミネートされた本作、果たして結果はどうなるでしょうか…。
<STORY>
オクラホマ州境の町・フォートスミスで、ある牧場主がトム・チェイニーという男に殺された。遺体を引き取りに来た牧場主の娘・マティは、父の仇を討つため、アイパッチをした飲んだくれの連邦保安官・コグバーンを雇う。しぶしぶ依頼を受けたコグバーンは、マティと共にチェイニーの逃げたインディアン領に足を踏み入れる。以前テキサスで罪を犯したチェイニーを追って来たテキサス・レンジャーのラビーフも旅に加わることになるが…。
<解説>
大酒飲みでいいかげん、何を考えているのかわからない老保安官・コグバーン。
不正を許さず、相手の間違いを鋭く追及する、口も達者で頭の回転も速い、頑なな少女・マティ。
自分のミッションに忠実な、青臭くも冷静沈着、真面目でプライドの高いテキサス・レンジャーのラビーフ。
この3人が、マティの父親の仇・チェイニーを探す旅に出ます。
荒野のインディアン領で、数少ない手がかりを頼りにチェイニーを探す彼ら。
怒ったり怒られたり、別れたり合流したり、“にぎやかに”旅は進んで行きます。
旅の最中に彼らが出会うのは、数々の“死”。
父親に“死”をもたらしたチェイニーを許せず、一徹に、頑なに、彼に復讐を誓ったマティ。
そのマティの決意が、数々の“死”を招いたのです。
死んで欲しかった男だけでなく、無関係な人物や、死んでほしくないものまで死んでしまいました。
旅の終わり、マティは大きなものを失い、大人になっています。
自らが引き起こした数々の結果を受け止めた時、もう子どもではいられないはずです。
酔いどれ保安官のコグバーンは、マティを旅をするうちに、自然とマティを保護する立場になりました。
何もなく、自堕落な生活を送っていた男に、“守るべきもの”ができた時、命の捨て場を見つけたのだと思います。
テキサス・レンジャーのラビーフは、自分の分をわきまえ、出来ることと出来ないことがきっちりと計算できる人物。
コグバーンの勇気を見て、男としてとるべき行動をとったのでしょう。
彼も、勝手知ったるテキサスを出たこの旅で、大きく成長したのではないでしょうか。
タイトルの『トゥルー・グリット』は、“真の勇気”“真の勇者”とでもいう意味です。
真の勇気は、いざという時だけに発揮するからこそ、価値があるのです。
それにしても、さすがコーエン兄弟、一癖も二癖もある見事な面構えの俳優たちを揃え、見事な西部劇を見せてくれます。
あの乾いた風景が、なんとも美しい。
感動的過ぎない点も、ちょっとひねくれてていいと思います。
個人的には、マティ役のヘイリー・スタインフェルドにオスカーを獲って欲しいですが、まあ、それはないでしょうね…。
『トゥルー・グリット』(110分/アメリカ/2010年)
原題:True Grit
公開:2011年3月18日
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
劇場:TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて
原作・脚本:チャールズ・ポーティス
製作・監督・脚本:ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
出演:ジェフ・ブリッジス/マット・デイモン/ジョシュ・ブローリン/ヘイリー・スタインフェルド/バリー・ペッパー
公式HP:http://www.truegritmovie.com/intl/jp/
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