【映画レビュー】ペントハウス ／ Tower Heist

NY・マンハッタンにある高級高層マンション“ザ・タワー”の管理マネージャーのジョシュ・コバックは、“ザ・タワー”をクビになる。“ザ・タワー”全従業員の年金運用を任せていた居住者・ショウが資金を私的運用し、証券詐欺で逮捕されたことに怒り、ショウの家で暴れてしまったのだ。ジョシュはショウを捜査していたFBI捜査官クレアから、ショウが20億円の隠し金を持っていると聞く。ショウの隠し金庫の存在を知っているジョシュは、ショウの家から金庫を盗み出そうと計画。幼なじみの泥棒・スライドや、従業員仲間たちを巻き込んで計画を立てる…。

タワーマンションの屋上にある、ドル紙幣がプリントされたプールの中を大富豪が泳いで横切るシーンの空撮から始まるこの映画。
タワーマンションの頂上にプールというのもすごいですし、プールの底にドル紙幣が印刷されているというのもすごい。
こんなマンションに住んでこんなプールで泳ぐなんて、拝金主義も極まれり…と、冒頭から思わせられてしまいます。

このプールで泳いでいるのは、アラン・アルダ演じる大富豪のアーサー・ショウ。
自分たちのために働いてくれるタワーマンション従業員の年金運用を請け負っておきながら、その金を私的に流用し、証券詐欺で捕まってしまうような拝金主義の悪党です。

このショウになけなしの財産を奪われた弱者たちが力を合わせ、20億円を取り戻そうと計画します。

この計画に加わるのは、次の面々。
タワーマンションの管理マネージャーをクビになったジョシュ（ベン・スティラー）。
ジョシュの下で働いていたコンシェルジュで、初めての子どもの出産を控えるチャーリー（ケイシー・アフレック）。
タワーマンションの住人だったものの、事業に失敗して金を失い、マンションを追い出されたフィッツヒュー（マシュー・ブロデリック）。
そして、新人エレベーターボーイのエンリケ（マイケル・ペーニャ）、父親が錠前技師だったメイドのオデッサ（ガボレイ・シディベ）。
基本は真面目な労働者で、悪事を働いたことのない彼らが、泥棒のスライド（エディ・マーフィ）の指導を受けて、20億円強奪計画を立てるのです。

なんだかんだ言って素人の彼らの計画や行動は、どう見ても穴だらけで行き当たりばったり。
コンビネーションもなってないし、みんながバラバラに行動するので、計画がうまくいかなくなったり、逆に計画にないのに偶然うまくいっちゃったり。
どう見ても強奪はできそうにないと思えるのですが、300万人の観客でにぎわう感謝祭のパレードも味方し、ミラクルな展開が待っています。
このあたりのドタバタは、ぜひ劇場で観て笑っていただきたいところです。
まあ、人によっては「ご都合主義的」と解釈されるかもしれませんが…。

額に汗して働いている善良な素人強盗集団が、自分たちを騙して楽な暮らしをしている経済犯に一泡吹かせるこの物語、なかなか痛快な義賊モノとも言えるでしょう。

ベン・スティラーとエディ・マーフィという、タイプの全く違うコメディアンがタッグを組んだこの作品。
ブレット・ラトナー監督がこれだけの豪華メンバーを集めて作るクライム・コメディでもあるこの作品、見逃す手はありません。

でも、エディ・マーフィはベン・スティラーの引き立て役に回り、個性を抑えている感もあり。
エディファンには、ちょっと物足りない部分もあるかもしれません。。。