【映画レビュー】図書館戦争
シリーズ累計300万部を記録する有川浩の人気小説が、コミック化、テレビアニメ化、劇場アニメ化を経て、いよいよ実写映画化されました。
映画『図書館戦争』は、雑誌「ダ・ヴィンチ」のファンによる誌上キャスティング投票でそれぞれ1位を獲得した岡田准一と榮倉奈々が主演を務めています。
などと言いつつも、原作や関連作をまったく観たことがなかった私。
うーん、ラノベ的なキャラの立ったセリフのやりとりは、コミックやアニメだと平気なんだけど、実写映画になると、今ひとつ空回りしちゃう気がするなあ。
そのあたり、俳優の力量にかかる部分が大きいのかもしれません。
でも個人的には、大好きな橋本じゅんさんがめっちゃいい役なのがうれしかったです。
<STORY>
“メディア良化法”というあらゆるメディアを取り締まる法律ができた日本。そこには良化隊による武力も辞さぬ検閲と、その良化隊に対抗する図書館の自営組織・図書隊があった。女子高生の頃、好きな本を図書隊員に守ってもらった笠原郁は彼に憧れて図書隊に入隊。担当教官・堂上の厳しいシゴキに耐え、女性として初めて図書特殊部隊に配属される。しかし、メディア良化法の報道資料の移送の日、図書隊と良化隊の間に激しい戦闘が起こる…。
<解説>
昭和の後、“正化”という、平成とは別の時代を迎えたパラレル・ワールドの日本を舞台にしたこの作品。
メディアの検閲が行われ言論を統制されている時代に、“本の自由”を掲げて戦う“図書隊”の戦いを描いています。
図書隊と良化隊は、“本の自由”をかけて、かなり本格的な戦いを繰り広げます。
それは、まさに“戦争”と呼ぶに相応しいもの。
でもねえ、それがどうにもリアル感に欠けていると思えてしまって。。。
重量級の銃火器を使った、人死にが出てもおかしくないくらいの本格的な戦争が行われているのに、図書隊と良化隊以外の世間は、なんとものほほんとしたもの。
これだけの激しい言論弾圧が行われるような世界であれば、それは本当に民主主義が終わり、独裁政治が始まる時でしょう。
普通の人びとの毎日の生活も、緊迫感にあふれているはずなのに、図書館の外では平和な世界が広がっているのです。
なので、どうしても彼らの必死な戦いが“贅沢な戦争ごっこ”にしか見えないのですよね。。。
原作などでは、このあたりはうまく消化されているのかもしれませんが、映画を観た限りでは、そのあたりがうまく説明しきれていなかったように思います。
戦争描写がリアルになればなるほど、違和感を拭いきれませんでした。
コミカルなラブコメ部分とシリアスな戦闘部分も、今ひとつアンバランス。
原作ではこのラブコメ要素が人気なのだそうですが、であれば下手にシリアスに寄せるのではなく、もっともっとラブコメ要素を多くした方が、素直に楽しめる作品になった気がするなあ。
まあ、いろいろ言いましたが、岡田准一くんの見事なアクションは、ホントにカッコ良かったです。
あのクライマックスの登場シーン、まさに「よっ、待ってました、王子様!」と声をかけたくなる感じ。
見事な体術を見せてくれる華麗なアクションも見事で、あの華もあってキレもある岡田くんのアクションを見られただけでも、この作品を観た甲斐があったんじゃないかと思います。
『図書館戦争』(128分/日本/2013年)
英題:LIBRARY WARS
公開:2013年4月27日
配給:東宝
劇場:全国にて
原作:有川浩
監督:佐藤信介
出演:岡田准一/榮倉奈々/田中圭/福士蒼汰/西田尚美/橋本じゅん/鈴木一真/相島一之/嶋田久作/児玉清/栗山千明/石坂浩二
公式HP:http://www.toshokan-sensou-movie.com/
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