ペタル ダンス

ペタルダンス (リンダブックス)

まるで日本版ドグマ95のようだなと思った石川寛監督の映画『ペタル ダンス』

宮崎あおい忽那汐里安藤サクラ吹石一恵という日本を代表する映画女優たちが、自然光のもと、まるでそこにいる普通の女の子たちのように、彼女たちの感情を自然な形で吐露してみせています。

風に吹かれ続けて“風の形”そのままに育ってしまった木、津波の影響か波打つように歪んでしまったコンクリートの埠頭…。
これらの風景が、この2013年に生きる日本人の心象をそのまま表現しているような、雰囲気たっぷりの映画です。

<STORY>
かつて大学生の頃仲が良かったジンコ、素子、ミキ。ミキが海に飛び込んだという話を聞き、ジンコと素子は6年ぶりにミキに会いに行くことを決める。そんなある日、ジンコは駅で電車に飛び込むような動作を見せる女性・原木を止めようとし、腕に怪我をしてしまった。特に自殺しようとしていたわけではなかった原木は、ジンコの代わりにドライバーとなることを申し出た。そしてジンコ、素子、原木の三人は車でミキの住む東北へと向かう…。

<Cheeseの解説>
雰囲気たっぷりのこの作品。
登場人物はぼそぼそしゃべっているし、ストーリーはわかりづらいし、登場人物の関係もわかりづらいし、思わせぶりだし、人によってはこの作品を受け付けない人もいるでしょう。

でも、この作品には今の日本人が抱える葛藤がつまっています。
それを声高に訴えるのではなく、詩的に、叙情的に描くことで、石川寛監督はこの作品をいわゆる“震災映画”とは違った形で残したかったのだと思います。

主人公のジンコ(宮﨑あおい)と素子(安藤サクラ)は、6年間会っていなかった友人・ミキ(吹石一恵)が海に身を投げたけれども一命を取り留めたことを知り、ミキに会いに行くことを決めます。

偶然ミキと知り合った原木(忽那汐里)も、そこに同行することに。
実は原木は、友人がさよならも言えずに失踪したことに傷つき、彼女の無事を常に祈っていました。
さよならを言えなかった友人が、元気でありますようにと。

2011年、多くの人びとが亡くなりました。
日本人はさよならも言えないまま、多くの友人・知人と別れざるを得なかったのです。

彼女たちの戸惑い、彼女たちの想いは、多くの日本人を象徴するものなのかもしれません。
そして、その想いを伝え、言えなかったさよならを昇華するために、彼女たちは旅をするのです。

リアリティがないからこそ、強烈にリアルに感じられる、そんな映画だと思います。

『ペタル ダンス』(90分/日本/2013年)
公開:2013年4月20日
配給:ビターズ・エンド
劇場:シネクイントほか全国にて順次公開
監督・脚本:石川寛
出演:宮崎あおい忽那汐里安藤サクラ吹石一恵風間俊介/後藤まりこ/韓英恵安藤政信
公式HP:http://www.petaldance.jp/

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