【映画レビュー】死霊高校 / The Gallows
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』、「パラノーマル・アクティビティ」シリーズなどですっかりお馴染みになったPOV(ポイント・オブ・ビュー)形式。
この『死霊高校』も、“映画の登場人物たちが自分自身で撮影した映像”で作られています。
そこに映し出されるのは、夜の学校、謎の超常現象、壊したはずなのに元どおりになっている絞首台。
誰もが昔通っていたけれど、夜の暗闇の中では体験したことがあまりない“夜の学校”を舞台に、イタズラ気分から本当の恐怖を味わうことになる少年少女たちが描かれています。
<STORY>
1993年、劇「絞首台」の上演中のビアトリス高校で死亡事故が起こる。それから20年、ビアトリス高校で再びその「絞首台」が上演されることに。主役を演じるリースは、主演女優のファイファーへの恋心から、その劇に参加する。リースの親友のライアンは、劇の失敗を画策。ガールフレンドのキャシディ、リースと共に夜の学校に忍び込み、セットを壊そうとする。そこに偶然ファイファーが現れた。彼ら4人は学校から出ようとするが、なぜか出られない…。
<解説>
「パラノーマル・アクティビティ」シリーズのプロデューサー、ジェイソン・ブラムが、ネットに上がっていた予告編を見初めて製作に乗り出した映画『死霊高校』。
クリス・ロフィングとトラビス・クラフという二人の若手監督は、まず映画のコンセプトを決め、脚本を作り、短い予告編を作って公開したことで、ジェイソン・ブラムと出会い、この映画の製作費を集めることができました。
その映画とは、20年前に死亡事故が起こったいわくつきの劇を上演することとなった高校生たちが、公演前夜の夜の学校に忍び込んだために、とてつもない恐怖を味わうことになるというもの。
彼らを襲う謎の出来事の正体は、20年前に死んだチャーリーの呪いなのか?
それとも、誰かが意図的に彼らに恐怖と苦痛を与えようとしているのか?
夜の学校に忍び込もうと言い出した張本人でイタズラ好きのライアンが持っていたカメラを通し、観客は、登場人物の4人と同じように、何もわからないまま、夜の講堂で恐怖を味わうことになります。
さらに、カメラは撮影者自身は気づいていない不思議な現象をも映し出しています。
この謎の現象とは…、すべてがわかった時、「なるほど、そういうことか!」と膝を打つでしょう。
どんなに大変なことが起きても、登場人物は決してカメラを手放さないというのはPOVの不自然なところ。
実は、本作中にもちょっと脚本の処理が雑なところもありますが、その欠点を補えるくらいの魅力が本作にはあります。
演じている俳優も、みんな若手のそれほど有名ではない俳優なのですが、演技がとても自然です。
というのも、自分自身のファーストネームが役名になっており、なおかつ脚本も全部渡されず、撮影の進捗に応じて何が起こっているのかを知らせていったのだとか。
どうりで、彼らのリアクションが真に迫っているのです。
夜の学校への恐怖、絞首台への恐怖、チャーリーへの恐怖が極限に達した時、彼らがどのような行動をとるか…、これはぜひご自分の目で確かめてみてください。
ホラーが苦手な私でも十分楽しめたこの作品。(怖くて半目にしつつ、叫ばないように口を覆いながら見てましたが…)
ホラー映画の新しい才能に出会うことができる、要注目の一作だと言えるでしょう。
『死霊高校』(81分/アメリカ/2015年)
原題:The Gallows
公開:2015年08月22日
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場:新宿ピカデリーほか全国にて
製作:ジェイソン・ブラム
監督・脚本:クリス・ロフィング/トラヴィス・クラフ
出演:リース・ミシュラー/ファイファー・ブラウン/ライアン・シューズ/キャシディ・ギフォード
Official Website:http://wwws.warnerbros.co.jp/shiryoukoukou/
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