ファミリー・ツリー／ The Descendants

2012/4/3 外国映画は行, 映画レビュー

ハワイを舞台に、ジョージ・クルーニー兄貴が寝取られ夫を演じている映画『ファミリー・ツリー』。

オトコの小ささや女のしょうもなさ、家族の結びつきの複雑さというものを、アレクサンダー・ペイン監督らしいトボけた筆致で描き出しています。

映画の冒頭でも言われることではありますが、人間って、楽園に暮らしててもどんないい生活を送ってても、それなりの悩みや苦しみはあるものなんですね。。。

＜STORY＞
ハワイの名家に生まれたマット・キングは、弁護士として堅実に暮らしていた。ある日、妻のエリザベスがパワーボートのレース中に事故に遭い、意識不明になってしまう。10歳の次女・スコッティが不安定になったため、全寮制の高校に通っていた長女・アレックスを呼び戻す。アレックスから妻が浮気しており離婚を考えていたと知らされ怒りに震えたマットは、妻の浮気相手を捜し出し、現状を伝えることにする…。

＜Cheeseの解説＞
カメハメハ大王の血をひく名家に生まれ、弁護士として成功しつつもつましく暮らしていたマット。
広大な土地を持ち、莫大な財産を持ちつつも、家族にぜいたくは許さず、弁護士としての稼ぎだけでの生活をしていました（とは言え、それだけで充分リッチな気がしますが…）。

妻・エリザベスとは一緒に暮らしてはいるものの、ほぼ口もきかない家庭内別居状態でした。
しかし、妻が事故に遭ったことにより、彼女が浮気をして自分との離婚を考えていたことを知ると、かなり取り乱してしまいます。
そして、今まであまり一緒に過ごしたことのなかった二人の娘たちと行動を共にし、戸惑いながらも家族のつながりを深めていくのです。

すぐそこにあった幸せに気付かず、その幸せの一部が欠けたことにより、これまでの自分の周りにあった幸せに気付くマット。
エゴのみを追求するうちに、ファミリーの一員としての役目や義務を忘れていたマットは、他のファミリーが欠けたことにより、自分がファミリーの要であったことを否応なく自覚する羽目になるのです。

彼は、それまで“キング一族”の“ファミリー”の中では直系の子孫として従兄弟たちを束ねる役目は果たしていましたが、“マット・キング家”の“ファミリー”の中では、果たすべき役目を果たしていませんでした。
その結果、妻は浮気し、娘たちは父を父とも思わず、汚い言葉を使うような娘に育っていました。。。

そんな中で、妻・エリザベスが昏睡状態に陥ったことにより、“マット・キング家”の家長の役割を果たす内、彼は変わっていきます。
結果、“キング一族”の“ファミリー”の重大事項を決める時に、エゴを通してしまったりするわけですが。。。

そんなマットを見ていると、人間っていうのは、経験により少しの成長はするものの、本質は変わらないものなんだなあと思わされます。
まあ、そこが愛しくもあるわけなのですが。。。

ハワイの雄大な自然の中で、ひとつの家族に起こった重大事件を描くこの映画『ファミリー・ツリー』。
ゆったり流れるハワイアン・ミュージックを聞きながらこの映画を観ていると、日々の生活で起こる事件など、大したことではないように思えてきます。

そう、古くから連綿と続く自然は雄大で、そんな自然の中で暮らす人間はとってもちっぽけ。
何があろうと日は昇るし、ファミリーの生活は続き、ファミリーの命は繋がっていくのですから。。。

別コラム：オトコに見せたいこの映画『ファミリー・ツリー』

MYLOHASニュース：ジョージ・クルーニーは寝取られ夫？ハワイの暮らしも楽じゃない！映画『ファミリー・ツリー』

『ファミリー・ツリー』（115分／アメリカ／2012年）
原題：The Descendants
公開：2012年5月18日
配給：20世紀フォックス映画
劇場：TOHOシネマズ日劇ほか全国にて
原作：カウイ・ハート・ヘミングス
監督・脚本：アレクサンダー・ペイン
脚本：ナット・ファクソン／ジム・ラッシュ
出演：ジョージ・クルーニー／シャイリーン・ウッドリー／アマラ・ミラー／ボー・ブリッジス／ジュディ・グリア／ロバート・フォスター／マシュー・リラード／ニック・クロース／メアリー・バードソング／ロブ・ヒューベル／パトリシア・ヘイスティ／ジュディ・グリア
公式HP：http://movies.foxjapan.com/familytree/